お笑い芸人の海外進出が止まらない…「アメリカは遠いか?」全米進出を狙う元ゾフィー・上田航平の勝算
「コントでゼロからやる」っていうのは何にも情報がないんです
――今年はシカゴにある「セカンド・シティ」でのライブを目標として、進捗があるごとにトークライブを開催していく予定なんですよね。 上田:やっぱり過程を見てもらうのが一番わかりやすいと思うんですよね。漠然と「アメリカでコントやりたい」で終わるトークライブだとあんまり意味がないし。目標に向かう過程で「どんなことがあった」「今こんなことを考えてる」っていうのをオープンにしていくことが単純に面白そうだなと思ってます。 アメリカでライブやるためには英語を学ぶ必要もあるし、向こうの文化を学ぶ必要もある。それを事前にどれだけ落とし込めるのか。実際にライブやってみてめちゃくちゃ空振りしたとしても、その過程を知ってれば「ここが考えられてなかった」みたいな発見もあるだろうなっていう。期待してくれてる方には、そこを楽しいんでほしいなと思ってます。 ――アメリカの主流であるスタンダップコメディアンと違って、スケッチを軸に活動したい人はどうステップアップしていけるのか。本当にゼロからのスタートですね。 上田:スタンダップコメディの人は、フリーのライブみたいな感じで「オープンマイク」に出てネタやって「オモロいね、今度劇場出てよ」ってつながって、次に劇場でウケたら「もっとデカいトコ出てよ」みたいな。その後、売れてるコメディアンの人が「俺の前座やってよ」って誘ってくれたりしながら上がってくステップがある。 けど、「コントでゼロからやる」っていうのは何にも情報がないんです。だから、とりあえず今年12月に「セカンド・シティ」とかで何回か公演を打ってから「どうしていこうか」って感じになると思います。近いのは、賞レースに1回も出たことない感覚ですよね。「どういう順番で誰が出て、どういうウケ方してる」みたいなことが何にもわかんないから、勝ち筋もわからないっていうか。 できるだけ向こうに行って「どういうことができるのか」ってことがわかってくればできそうな気もするんですけど、今すぐ現地に住むとなるとまだ難しいなっていう。あとは昨年末にアメリカに行ってスッカラカンになっちゃったから、本当にお金貯めないと(苦笑)。よく(松井咲子さんは)こんなのと結婚してくれたなっていう。 結婚する前に「スッカラカンになっちゃった」って伝えたら、「楽しければいい」って言ってくれたんで本当に救われました。とはいえ、素っ裸でアメリカ行ったら確実に死にますからね(笑)。もうちょっと様子見して、何年後になるかわかんないですけど、飛び込めるチャンスがあればアメリカに住もうと思ってます。 ■後編では、『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(AbemaTV)で解散を発表した経緯、幼少期に触れた海外コメディと劇団や映画学校時代のエピソード、アメリカ進出を考えるようになったきっかけ、国内での活動についてなど、さらに彼の今を深掘りしていく――。 取材・文:鈴木旭 フリーランスの編集/ライター。元バンドマン、放送作家くずれ。エンタメ全般が好き。特にお笑い芸人をリスペクトしている。2021年4月に『志村けん論』(朝日新聞出版)を出版。個人サイト「不滅のライティング・ブルース」更新中。http://s-akira.jp/
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