台湾との友情、文化で育む 玉名市で13日から「国際芸術祭」 7月14日にはコンサート 【クローズアップ】
熊本県玉名市と玉名国際交流協会(同市)は13日から、台湾との住民間交流を通して互いの文化への理解を深めるイベント「国際芸術祭」を市内で初めて開く。玉名市とのマラソン交流が縁で、台湾の民間団体が提案。7月14日まで開催する絵画展やコンサートに向けて、市民も準備に熱が入る。 市は2023年12月、台湾・桃園市で初開催された「国際シティハーフマラソン」に蔵原隆浩市長らを派遣するとともに、市民も大会に参加。滞在中の蔵原市長に対し、「日本台湾文化芸術交流会」(台湾・台中市)の林慧諭名誉会長(54)が芸術祭開催を提案した。 林名誉会長は、19年に玉名市の横島いちごマラソン大会に初めて参加して以来、市民の人柄や玉名温泉が気に入り、住民の音楽活動も盛んな市との交流を熱望していた。自ら企画書を携えて蔵原市長と懇談。「日本と台湾の友情を育む機会にしたい」と芸術祭開催を持ちかけた。 菊陽町に台湾積体電路製造(TSMC)が進出したことから、玉名市側も台湾からの観光客受け入れや関係人口を増やす好機として提案を受け入れ。観光物産課や文化課、教育総務課などが準備を進めた。
メインイベントのコンサートは、7月14日午後2時から市民会館であり、専大熊本高吹奏楽部や音楽ユニット「音の和music」など市内5団体と、台湾・高雄市の小学生~大学生でつくる弦楽団「新希望楽団」29人が出演。フィナーレでは、全員で映画「となりのトトロ」の主題歌「さんぽ」を息を合わせたハーモニーで披露する予定だ。 ハンドベル演奏で出演する同市伊倉北方の寺子屋「光専寺土曜学校」は8日、小中学生13人が「世界に一つだけの花」を練習。玉南中2年の中山小梅さんは「初めて海外の方に披露する。曲の味わいが伝わるように、音の響きを大切にしたい」と話す。 玉名市は6月議会に提出した24年度一般会計補正予算案に、コンサート費用334万円を計上。林名誉会長ら台湾側の希望も踏まえ、国際芸術祭を東南アジアなどの国々が茶道、舞踊などを通して幅広く交流するイベントに育てる考えだ。市観光物産課は「子どもがグローバルな視点を養う機会にもなる。成功させて軌道に乗せたい」と意気込む。
13日に市役所で始まる絵画展では、台湾南部・嘉義市の小学生が台湾先住民の結婚式の様子を描いた作品など16点を展示する。コンサートは入場無料。(岡本遼)