やっぱり無能でした…ひきこもり支援が実は「敗者」を増やしている残酷な現実
2023年の内閣府調査によると、全国のひきこもりと呼ばれる人たちは140万人を超えているという。なぜ「自立支援」はひきこもりをなくせないのか。それは「自立支援」は「ひきこもりへの支援」ではなく「自立支援業者の支援」であるからなのだ。高校3年生の時に不登校になり、以降「ひきこもり」となった著者が本質をつく。本稿は、勝山 実『自立からの卒業』(現代書館)の一部を抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● ひきこもり支援は いったい誰のもの? ひきこもり支援はずっと就労支援ばかりをやっていますが、なんの成果もありません。15年以上、失敗を繰り返しているのに、やめない。やめようという人は、この星には私くらいしかいないのではないか。 たいていは併用主義者で、就労支援だけでなく、ほかの支援もやりましょうといったぼっさり具合で、結果として出てきたのは、相談窓口、居場所、訪問支援などです。でも、なにひとつまともに機能していません。 誰がこんな腐れ支援を考えるのでしょう。少なくともひきこもり当事者(ご本人様)ではありません。じゃあ誰だ、支援者が考えているのかというと、そうじゃない。支援者なんて、委託事業という名の助成金を受け取るだけの、一介の出入り業者にすぎません。 分をわきまえず国に提言して、国のやることに関わっていこうとするならば、たちまち、言いたいことを言うだけじゃいけないと責任感を持たされ、なにもしないのはよくないと参加させられ、文句ばかり言うだけではだめだと協力させられる。 貧乏臭い非営利事業者の行き着く先はいつも、苦言を呈しつつ、国の言うことをなんでも聞くことだけとなります。国の政策の決定に関与することなんてできないのです。なぜでしょうか。
ひきこもり支援を考えて実行させている何者かがいるのです。国家、支配者、権力者、資本、大企業と、空想すればきりがないですが、ここでは親しみを込めて「ご主人様」と呼ばせていただきます。 ● ひきこもり当事者は 「ご主人様」研究をせよ いまのご時世に当事者がなすべきことは、当事者研究のような、自分の内面を深く見つめることではなく、ひきこもり支援の内容を決定してくださる、ご主人様の研究ではないでしょうか。 当事者研究を突き詰めても、その行き先は、おばあちゃんの知恵袋レベル止まりです。ほうれん草のゆで汁でしみ抜きができるとか、小さな石けんの活用法とか、まあそれはそれで日々の暮らしに役立つ素敵なものですし、そのような知恵を大切にして暮らすのも穏やかで平和なもので、結構なものですけれども、それだけが私たちひきこもり当事者のやるべきことなのでしょうか。 空想力はなんのためにあるのか、毎日ごろごろしたあげくそんな小さいことを考えていてはもったいない。Think Big!頭がおかしいと思われてもいい、誰からも相手にされなくてもいい、空想はデカければデカいほどよいのです。 私は当事者研究ではなく、ご主人様研究をします。ご主人様がひきこもりを中心とした、生産性のない人間を、どうしようと考えているのか。自分の悩みについてばかり考えるのではなく、ご主人様の苦悩に思考をめぐらせるのです。 そういった視点を持てば、なんでひきこもりが就労訓練ばかりさせられているのか、やっても無駄なのに、それでもやらせるのはなぜなのか。その理由が見えてきます。 ちゃんとご主人様は考えていらっしゃるのです(そうでなければとっくにひきこもり支援なんてやめています。あなたたちときたら、あれこれ言い訳ばっかりして結局働かないんだからさ)。 ご主人様がひきこもりに関心を持ち、やたらと訓練という形で干渉してくるけれども、けっして支援はしない(手当・給付は与えない)、その理由はなんなのか。 ● 「就労支援」は 形だけの敗者復活戦!? ご主人様は、就労支援を通してひきこもりに就職して働いてもらおうなんて、考えてはいない。とっくの昔に賃金労働者としてのひきこもりに見切りをつけていて、社会から排除しています。受け入れる気なんてありません。 就労支援が形だけの敗者復活戦であることは、みなさんも実感しているでしょう。申し込めば誰でも就労支援を受けられる、就職だってエントリーできます、誰に対しても門は開かれています、全開です。機会は与えられているのです。