「美しい姿を永遠にとどめたい」作家・稲葉なおとが捉えた、名建築と社交ダンスが織りなす「美の世界」
ダンサーの力を得て、名建築の美を留める
今後、ダンサーたちとの競演を思い描く名建築があるという。 「ホテルでいえば目黒の『ホテル雅叙園東京』です。もともと昭和の大富豪が料亭として作った施設で、和風意匠の大宴会場もあるんですよ。吉田五十八(いそや)さんが設計した大阪の『リーガロイヤルホテル』も、日本ならではの建築意匠と、西洋のダンスが交錯することで、非常に素晴らしい画が生まれると思います。 競技場でいえば、丹下健三さんの名作『国立代々木競技場』ですね。地方だと内藤廣さんが設計した『静岡県草薙総合運動場体育館 このはなアリーナ』は静岡県産の天竜杉を使った日本最大級の木造建築で、とても写真映えすると思います。 写真 左から 藤井創太/中村安里 グランドプリンスホテル新高輪「飛天」、藤井創太/山本英美 同、清水健太/山本英美 同、鈴木佑哉/原田彩華 同、山本英美/芝西将史/新垣幸三/真田啓嗣/松本光祐 千里阪急ホテル 日本には素晴らしい名建築宴会場や競技場がたくさんありますが、年月を経て、いつ壊されてもおかしくありませんし、既に閉館が決まっているものもあります。だからこそ美しい姿を、ダンサーたちとともに永遠に残したいですね」 『稲葉なおと写真展 スパイラル 美しい建築で踊る』は岡山県津山市津山文化センターで11月24日(日)まで開催されている。 稲葉なおと/紀行作家・写真家・一級建築士 東京工業大学建築学科卒業後、建築家として活躍。旅行記の出版を機に紀行作家としてデビュー。写真家としても、名建築ホテルや美しい建築を撮影した写真集の出版、単独写真展を開催している。JTB紀行文学賞奨励賞受賞。建築文化の発展と啓蒙への貢献により日本建築学会文化賞受賞。 ………… 【もっと読む】都市に存在する、見えない川「暗渠」と「まちづくり」の驚きの関係性
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