時代を先取り!? 通信機能を標準搭載したカーナビは20年以上前に登場していた《カーナビ名迷機図鑑》
エアーナビの初代モデルは「AVIC-T1」
カロッツェリアのカーナビ、「サイバーナビ」と「楽ナビ」はどちらも通信機能を標準搭載し、サーバーから最新情報を取得する。スマホナビアプリも通信機能を使ってほぼすべての情報を得られる。 【詳しく画像を見る】 これら“通信型のカーナビ”は最近のものだと感じる人も多いだろうが、カロッツェリアでは今から20年以上も前の2002年に通信機能を標準搭載したモデルを世に送り出していたのだ。 2002年のカロッツェリアには上級タイプのHDDサイバーナビ、普及タイプのDVD楽ナビをラインアップしていたが、そこに加わる第3のシリーズとして誕生したのが通信型を採用した「エアーナビ」。初代モデルは「AVIC-T1」だった。 モニターを搭載したワンボディタイプの本体には携帯電話第3世代の通信モジュールを内蔵。サーバーに蓄積されている地図データや検索データはいつも新鮮に保たれており、走行ルートや自宅周辺のデータは自動的に最新版に更新される。 しかもルート探索はリアルタイムのVICSデータを取り入れた渋滞回避ルート探索が可能で、さらにオプションサービスとしてドライブスポットの最新情報が得られるライブマガジンや最新の天気予報を地図に表示するウェザーライブ、位置情報が送信できるポイントパーティなどの便利な機能も搭載。 現在の通信ナビに似た特徴をすでに備えていたのだ。
人気モデル「楽ナビ(ポータブルタイプ)」へと成長
コンセプト的にはカーナビの理想に近いものだったが…KDDIのCDMA2000 1xの通信網は当時最速クラスではあるものの、実際の操作レスポンスはスタンダードなDVDナビより少し遅い程度。 さらに現在のように携帯電話をどこでも使えるインフラは整っていないため地方では通信圏外になることがあり、ルート探索を使用できない(通信圏内に入った時点でルート探索を行う予約機能がある)などの機能制限が発生するケースも見られた。 そして通信を標準搭載しているため、通信料を含めたサブスクのような特殊な月払いの購入方法が設定され、3年間は月々3980円+ボーナス時1万5000円で、4年目以降は月々1980円などのプランとなっていた。これもわかりにくく割高感もあったようだ。 先進性や利便性にあふれるエアーナビだったが、実際の運用については上記のようにユーザーを選ぶようなところがあり、利用者を増やすことはできなかった。 とはいえ、この苦い経験を生かして2008年には第2世代となる「AVIC-T10」が登場。基本的なコンセプトを受け継ぎつつもポータブル型ナビに外付け通信モジュールを組み合わせ、内蔵メモリーと通信のいいとこ取りをしたハイブリッドスタイルへと進化した。 その後エアーナビは2012年に楽ナビシリーズに統合されるとともに「楽ナビ(ポータブルタイプ)」と名を変え、多くのユーザーから歓迎される人気モデルへと成長した。
<文/浜先秀彰>