世界初、色鮮やかな若冲の巻物が京都の「若冲激レア展」で公開されます。
10月に京都の福田美術館で開かれる『京都の嵐山に舞い降りた奇跡!! 伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ?!』という長いタイトルの展覧会。文字通り、若冲の色鮮やかな野菜や果物が並ぶ《果蔬図巻》が初めて一般公開されます。今年一番見逃したくない展覧会です。 【フォトギャラリーを見る】 京都・嵐山の地に建つ〈福田美術館〉はこの秋で開館5周年を迎える。美術館としては比較的新しいものだが、江戸時代から現代までユニークなコレクションを見せてくれる館だ。10月に開かれる『京都の嵐山に舞い降りた奇跡!! 伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ?!』展は文字通り、若冲の幻の巻物《果蔬図巻》を中心としたもの。《果蔬図巻》のほかにも貴重な若冲作品が展示される。
今からおよそ240年前の作である《果蔬図巻》は3メートルの長さの巻物にさまざまな野菜や果物を描いたもの。若冲には同じく野菜や果物が仏陀の死を悼む《果蔬涅槃図》(京都国立博物館蔵・今回は出品されない)があるが、《果蔬涅槃図》は水墨画なのに対して《果蔬図巻》は着彩だ。青物問屋の子だった彼の観察眼が伺える。巻末には若冲が親しく交流していた相国寺の僧侶、梅荘顕常(ばいそうけんじょう、別名・大典)の跋文(ばつぶん)がある。
この《果蔬図巻》は長年ヨーロッパ在住の個人コレクションとなっていたため、一般に公開されることがなかった。昨年日本に里帰りし、福田美術館のコレクションとなったのを機に世界で初公開される。
あわせて展示される《乗興舟》は今年、福田コレクションに加わった逸品。50代の若冲が京都の伏見から大阪まで川下りをしたときの情景が「拓本画」の技法で表現される。若冲とともに川下りをした大典の漢詩も添えられる。
《蕪に双鶏図》は2019年、福田美術館の開館直前に発見された、若冲最初期の作品だ。若冲が愛した鶏は大きく首を曲げ、枯れて穴の開いた蕪の葉も一枚一枚ていねいに描かれる。