ラグビーコラム 身も心も温まろう 東京ベイと銭湯27軒が加盟する江戸川区浴場組合のコラボ
【ノーサイドの精神】リーグワンの東京ベイが、ちょっと変わったコラボ企画を発表した。ホームスタジアムの「スピアーズえどりくフィールド」がある東京・江戸川区での認知度向上を目指し、同区内の銭湯27軒が加盟する江戸川区浴場組合と〝スクラム〟を組んだ。 今季のリーグワンで、同フィールドでのホストゲーム最初の試合となるBR東京戦が来年1月18日に開催されることから、同月からレギュラーシーズン終幕の5月11日まで同区内の4軒の銭湯でスタンプを集めれば東京ベイのホストゲームのペア入場券がもらえるといったスタンプラリーを実施する。 目的は、銭湯を通じた江戸川区内での東京ベイの認知拡大と、多くのラグビーファンに江戸川区の銭湯の魅力を知ってもらうことで心も体も温かくなってもらいたいという狙いがある。 11月5日にこの企画発表の会場となったのが同区江戸川1丁目にある「第二寿湯」(筆者の〝好物〟である電気風呂がある)。男湯と女湯の壁を貫くように、東京ベイのチームカラーのオレンジ色に染まった富士山と、東京ベイのマスコット「スッピー」、江戸川区浴場組合のマスコット「お湯の富士」が描かれていた。 経営し、組合理事長も務める鴫原(しぎはら)和行さんは、ちょっとした名物経営者だ。会社勤めをしていたが、2001年12月29日に45歳で退職。妻の実家である第二寿湯の手伝いを始めた。「30日に送別会を開いてもらい、大みそかから、もう釜たきですよ」と笑う。 「お湯の富士」も鴫原さんのアイデア。かつては近所に大相撲の伊勢ノ海部屋があり、土佐ノ海(現立川親方)がよく入りに来てくれたという。力士とペンキ絵によく描かれる富士山、それにお湯を組み合わせたものだった。 特製の背景画を描いたのは、日本に3人しかいないという銭湯ペンキ絵師の田中みずきさん。浴場が休みだった11月1日の一日だけで、15時間かけたそうだ。田中さんは発表会見にも出席。ラグビーに携わるのは初めてだったというが「最後にラグビーボールを描けたのは、自分としてもちょっとうれしかった」と笑顔を見せた。 冬のラグビー観戦は寒い。えどりくでの観戦帰りに、銭湯で身も心も温まるのもおつなものだと思う。少し足を伸ばして第二寿湯で背景画を見れば、きっとオレンジアーミー(東京ベイの熱烈ファン)も満足するだろう。帰りがけ、鴫原さんから、今や人気沸騰中という「お湯の富士」のかわいい人形もいただいた。大事にしよう。(田中浩)