楽しむのにパワーは必要か? 100馬力以下の名機 5選 速さにこだわらない「本質」とは
トライアンフ・スラクストンR
オートバイは、わたしが個人的に最も長く愛してきた乗り物だ。数年前、同僚のスティーブ・クロプリー(編集長)とわたしは、バイクを持たずに派手なスポーツカーを所有するよりは、ごく控えめなクルマとバイクを所有する方がいいということで意見が一致した。今日、わたしはその確信を強めている。 100ps以下のバイクを見つけるのは簡単だし、速くて楽しいバイクを見つけるのも簡単だ。今回選んだのは、このトライアンフ・スラクストンRだ。1200cc並列2気筒水冷エンジンを搭載し、最高出力97psを発生。6速トランスミッション、乾燥重量206kg。 標準モデルのスラクストンも同じエンジンを搭載するが、Rモデルに装備されるセクシーなオーリンズ製リアサスペンションやショーワ製倒立フロントフォーク、ブレンボ製モノブロックキャリパーはない。 トライアンフはスラクストンRの最高速度を公表していないが、推定215km/h前後、つまり腕が痛くなり、サドルから吹き飛ばされそうになるポイントを70km/hほど超えたあたりだろう。ライディングモードには「レイン」、「ロード」、「スポーツ」があるが、エンジンのパワーデリバリーはとてもスムーズなので、濡れた路面でスロットルレスポンスの速いスポーツでも問題ない。 古いバイクは好きではない。率直に言えば、ハンドリングが悪かったり、ちゃんと止まらなかったり、タイヤがグリップしなかったり、信頼性が低かったりするのがほとんどだ。わたしはノートン、トライアンフ、ラベルダと乗り継いできたが、そのどれにも戻りたくない。このスラクストンRに乗って、さらに確信した。ハンドリングは素晴らしく、ブレーキは驚異的で、必要なだけのパワーがある。 とはいえ、わたしが最も欲しているのはドゥカティのパニガーレV4(写真)だ。200ps以上だからというわけではなく、ボルトの一本まで精巧に作り込まれたゴージャスなデザインが魅力的だから。そして、そのエンジン音がとんでもないからだ。もし馬力が半分でも、わたしは同じように感じるだろう。