東北一の歓楽街・国分町に潜む暴力団 性風俗店の用心棒に みかじめ料を絶てるか 今も続く警察との攻防【宮城発】
ヤクザと事業者の関係
男性は怖い目にもあった。ある日、店に「面倒を見てやるから月3万円よこせ」と面識のない暴力団組員から電話があった。支払いを断ると恫喝する口調に変わり、話は1時間半にも及んだという。それでも支払わなかったのは「ヤクザに貸しを作ってはいけない」という意識があったからだ。「親分さん」とも店と客の関係、対等であることを心がけていた。それから10年もすると、親分さんは姿を見せなくなり、街で組員を見かけることはなくなった。1991年に暴力団対策法が成立したからだ。 だが、暴力団はなくなったわけではない。国分町にあるキャバクラの関係者は、何かとトラブルが起きる歓楽街では暴力団と接点を持たずに店をやっていくのは難しいと話す。みかじめ料という認識はないものの、トラブルを解決してもらったお礼として過去に数万円を渡したこともあったという。
事業者にも罰則 規制強化へ
店と利害が一致することもある暴力団。だが、資金をもとに行われるのは犯罪行為だ。 宮城県は2011年に暴力団排除条例を制定し、暴力団と店との関係を断つべく規制してきたが、2023年に条例を改正。暴力団だけでなく、みかじめ料を渡した事業者への罰則も定めた。 改正条例は、国分町や仙台駅周辺の18地域を暴力団排除特別強化地域に指定。地域内で営業するキャバクラや性風俗店などを特定事業者とし、みかじめ料をやり取りした場合、暴力団と特定事業者の両方に「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」を科す。先述の事件を含め、これまでに3件、暴力団の主要3団体(六代目山口組系、稲川会系、住吉会系)の幹部など合わせて4人を検挙しているが、警察はまだ氷山の一角とみている。
報復が怖い…関係を断てるか
今回の改正では「自首減免」という制度も加わった。事業者が自主的に暴力団との関係を申告すれば、罪に問われないケースもあるというものだ。警察は、報復されないよう暴力団対策法に基づき中止命令を出すこともできるとして、事業者に勇気を出して相談してほしいと呼びかけている。誰もが安心して楽しめる街にするために。歓楽街も変わらなければいけない時期がきている。
仙台放送