バントだけで2時間半...徹底した練習でベスト8入りした千葉県有数の実力校が目指す野球
徹底した練習で作った土台
全国大会に何度も出場するサッカー部の印象が強いかもしれない流通経済大柏。野球部は甲子園こそ未出場ではあるものの、今年の秋季千葉県大会ではベスト8入りを果たした。今、県内有数の実力校の1つであることは間違いない。 【一覧】21世紀枠都道府県推薦校 2023年より部長から監督に就任した前田智紀監督は「まず1つずつ勝つ、1試合でも多くというところで、一戦一戦でした」ということで、決して最初から上位進出を見据えていたわけではないようだ。 新チーム発足時、夏の大会を経験した選手はごくわずか。3年生主体のチームだったため、旧チームからの出場はわずかだった。だから主将・大石耀内野手(2年)いわく、「普通のゴロやフライを捕るにも不安があって、気持ちに余裕がなかった」ということで、1からの出発だった。 なので、前田監督は思い切って、7月中は練習に全てを注ぎ込んだ。 「バントとか本当に最初はできないことが多かった。だから重点的にやっていくためにも、7月中はほとんど練習試合をやらずに、大体1日練習をやるようにしました」
千葉の秋は早い。8月中旬には秋季大会の予選が始まる。負ければ9月初旬に敗者復活戦、そして県大会が9月下旬からスタートする。決してスケジュールに余裕があるわけではない。 それでも、前田監督は基本となる部分の強化に時間を割いた。だから、練習も徹底した内容にしたようだ。 「本数をとにかく多めにやったので、『冬練なんじゃないか』って思うくらいやっていましたね。なかでも『夏は負ける時、エラーが多い』ということで守備で負けないようにシートノックは気がつけば2時間くらいやってしました。 またバントも時間をかけて練習しました。ある日の練習で、3か所に分かれて2時間半くらいバント練習をやるくらい大事にしてきました。だから守備とバントについては、どのチームにも負けないと思っています」(主将・大石)
社会人野球で学んだ全力で取り組むこと
特にバントについては、取材日に15分間バント練習を設定して取り組んでいる様子があった。打席に立つ選手はもちろんだが、順番を待っている選手たちも後ろでタイミングを取ったり、仲間に指摘の声をかけたりと、真剣に取り組む姿が印象的だった。 「基本的な構えの部分とか、状況に応じた考え方も含めて、キチンと教え込んだ」という前田監督のこだわりぶりが選手たちに浸透しているのが十分伝わった。が、その背景には部長時代だけではなく、自身の現役時代の経験を踏まえて守備やバントを強化している。 前田監督は、社会人・九州三菱自動車(現KMGホールディングス)でプレーしていた実績の持ち主。当時の指揮官・稙田龍生監督(現創成館監督)のもとでプレーしており、「(バントの重要性は)感じましたね」と教わった部分も多かったという。