安倍派の大物・萩生田光一元政調会長 裏金問題で処分、非公認、公明の推薦なしの厳しい選挙戦
「この期に及んでも空気が読めない人だ」 とぼやくのは、東京都八王子市の自民党市議A氏。空気が読めないというのは、衆院選で東京24区(八王子市の一部)に立候補している自民党元政調会長、萩生田光一氏だ。 【写真】萩生田氏が総裁選で票をまとめた結果はこちら 自民党の政治資金パーティー収入を裏金化した事件で、安倍派5人衆の一人である萩生田氏は、2018年から22年までの5年間で2728万円という巨額の裏金をつくっていた。石破茂首相は萩生田氏を含む裏金議員12人を衆院選で「非公認」と決定。萩生田氏は、裏金事件で政調会長を辞任し、党役職停止処分を受け、最後は「非公認」となって、衆院選には無所属で立候補している。 萩生田氏は党公認ではないため、集会などに足を運ばない自民党関係者らもいるが、すると、 「萩生田氏は『〇〇はきていない』『△△はいないってどういうわけ』と愚痴るんです。指摘された党関係者の耳に入ると、当然ムッとして『この野郎』ってなりますよ」 とA市議は言うのだ。 ■総裁選で安倍派の結束を呼び掛けた 「国会でも同じですね」 と話すのは、安倍派の衆院議員だった、B氏だ。 9月27日に投開票された自民党総裁選の時だった。同じ安倍派であってもあまり交流がなかった萩生田氏が、次のようにB議員に声をかけてきたという。 「総裁選は(安倍派)みんなで結束しよう。私が中心になる。いずれまた私が安倍派のみんなをまとめることになるから」 B議員は総裁選でどの候補に投票するか公にしていなかったため、萩生田氏が接触してきたようだった。そして萩生田氏は総裁選候補の高市早苗・前経済安保担当相の名前を挙げた。 「政治の師匠、安倍晋三元首相が高市氏だと言っていたので間違いない人。それで頼む。(安倍派の)他の人もそれでやるんだ」 萩生田氏はそう言って、高市氏への投票を求めたという。
■「高市氏なら早期の選挙はない」 B議員が言う。 「萩生田氏は安倍派の幹部として、裏金の中心にいた人でしょう。そのせいで派閥解消となり、処分まで受けている。それが派閥を復活させるような動きをして、高市氏に票を集めようとしていた。萩生田氏は衆院の解散・総選挙について、『高市氏が総裁になれば早期の選挙はない』との見方をさかんに語ってもいました。裏金議員にとっては選挙が早いほど不利ですから、それで歓心を買おうとしたのでしょう。別の安倍派議員からは萩生田氏が高市氏の『推薦人集めを助けた』とも聞き、言葉がなかった。そのためですかね、高市氏の推薦人は20人中13人が裏金議員で、旧統一教会と関係していた議員は9人もいました」 萩生田氏に不信感を持ったB議員は、結局、 「高市氏ではなく、石破氏に投票した」 という。 ■石破内閣は「数少ないお友達と、やったことない人」 萩生田氏は10月1日にYouTubeの番組に出演し、 「(石破首相は)高市さんを幹事長にすると思った。そしたら総務会長(を打診)で断ったっていう報道を聞きましたけど、そこは私ね、挙党一致考えるんなら、やっぱり幹事長にお願いするべきだった」 と語り、できたばかりの石破内閣については、 「やっぱり(石破首相の総裁)選挙の応援した人たちがポジションを取ってるような感じ。(石破首相の)数少ないお友達と、今までやったことない人、みたいな感じがしますね」 と痛烈な批判を展開した。 また、安倍派内では「次の会長になったらと言われていた」と大物ぶりもアピールし、自らの裏金事件への関与については、 「5人衆っていうのは安倍さんが亡くなった後、これから派閥どうしようかって閣僚や与党の要職のメンバーで打ち合わせしたのが5人。私は、事務総長やったことないから(パーティー券の)ノルマを決めたこともないし、会場の予約したこともない。そういうこと言うと、反省がないって言われてしまうが、それが事実」 と反論していた。