「日本酒とは"たとえツッコミ"!?」 唎酒師(ききさけし)芸人の江戸マリー・角井に教わる日本酒のたしなみ方
■唎酒師はたとえツッコミだ! 角井 次はこれかな。3位の「白真弓 純米無調整生 直汲み無濾過」。これも「生」なので、今は生が人気なのかもしれないですね。けどこれはあんまり匂いしない。 ......ん! こっちのほうがキレがいい。スッキリしてて後に残らないですね。こういう爽やかなお酒は、この酢の物とかサッパリしたおつまみが合うはずです。 ――飲み比べると「キレがいい」の意味が分かりました。ところで唎酒師になるための授業ってどんなことするんですか? 角井 例えば、さっきの「メロンみ」のように日本酒の味を何かにたとえて表現するんですけど、そのためにいろんな匂いを嗅ぐ授業があるんです。木とか、塩とか。 ――塩!? 塩に匂いってあるんですか? 角井 ないんです(笑)。岩塩が紙コップに入れられてて、紙コップの匂いしかしない。でも先生に「ね、塩の匂いするでしょ」って言われて、「しますね」って適当に答えて(笑)。 そう考えると日本酒の味を表現するのって、お笑いで言う「たとえツッコミ」みたいなものなんですよ。ソムリエもそうだと思うけど、そのための語彙力を鍛える授業を受けました。 ――ワインも色を見て、香りや味を独特の表現でたとえますよね。 角井 そうそう。唎酒師の場合は、やっぱりメロンとか、バナナとか桃とか、果物にたとえられがちですね。別に和の果物じゃなくてもいいみたいで、味を的確に伝えられたらいいんです。 1度あったのは、オシロイバナの香りと、サルビアの香りがどうのこうのって書いてあって、そんなのどんな匂いか分からないよっていう(笑)。だから、つのも今後は、味を的確にうまいことたとえていきたいですね。 ――じゃあ今呑んだこのスッキリ系のお酒を表現してください! 角井 うーん。2階建ての......1階がお好み焼き屋さんの建物の2階のお座敷で......盆栽を見てたら......目の前にリンゴを手に持ったおばあちゃんがやってきた、って感じの味。しかもそのリンゴはウサギの形に切ってある。あ、これ、結構的確かも。 ――(笑)。いや全然伝わらないです。要するにリンゴの香りがするってこと? 角井 それも含まれるし、い草みたいな香りもするし。お好み焼きの匂いはしないけど(笑)。お好み焼き屋さんが1階にある建物の2階のあの感じを思い浮かべてほしい。たぶんその店主のお母さんが住んでるんでしょ。で、その休憩中にリンゴをウサギちゃんの形に切ったのを運んできてくれるっていう。 ――最初に呑んだ日本酒に比べて、渋さがあったから? 角井 そうそう。情景が浮かびました? いつもお好み焼きを運んでくるともこさんっていうおばさんがいて、お好み焼きだけじゃなくリンゴを切る技術もあるんかいっていう(笑)。 ――伝わらないです!