福岡県八女市長選挙、34歳の元経産省職員に変革託す…「今のままでは伝統や魅力を次の世代に残せない」
福岡県八女市長選が10日、投開票され、無所属新人で元経済産業省職員の簑原悠太朗氏(34)が、無所属新人で前副市長の松尾一秋氏(64)(自民推薦)を破り、初当選した。九州・沖縄で最年少の市長となる。任期は16日から4年間。 【写真】初当選を決め、支持者から花束を受け取る簑原さん
「変革」を掲げ、若さと行動力をアピールした簑原氏が、三田村市長の後継指名と自民党の支援を受けた松尾氏に6600票余りの大差をつけて勝利した。人口減少や合併後の地域間格差の拡大などの課題に直面する中、市民の多くが現市政の継承よりも刷新を望んだ。
簑原氏は昨年10月、旧星野村の関係者に立候補の決意を伝え、今年6月に経済産業省を退職後、つじ立ちや集会、SNSによる情報発信で知名度アップに努めた。「今のままでは八女の伝統や魅力を次の世代に残せない」との危機感や、八女への熱い思いに共鳴した市民の間に支援の輪が広がり、一部の保守系市議に加え、若手の農家や商工業者らも選挙戦を支えた。
三田村市長の引退表明が6月になったことも、簑原氏にとって有利に働いた。松尾氏の活動の出遅れにつながったためで、自民党県連は9月に松尾氏の推薦を決めたが、県農政連八女支部の八女市内6地区は一部が簑原氏支援に回った。
同市の人口は、2010年2月の1市2町2村の合併時から約1万1000人減った。基幹産業の農林業や仏壇に代表される伝統産業の担い手不足、近年相次ぐ大雨災害への対策など課題は山積している。
変化を求めた市民の期待にどう応えるのか。簑原氏の手腕に注目が集まる。(佐々木道哉)