南葛飾、桜修館中等との都立勢対決を制す!「今年は8強を目指す」
第103回全国高校サッカー選手権東京予選の1次予選は9月8日、各ブロックの2回戦58試合が行われ、決勝(9月14~16日)に進む70校が決まった。 【フォトギャラリー】都立南葛飾 vs 都立桜修館中等 第24組の南葛飾と桜修館中等の都立勢対決は、南葛飾が2-1で競り勝って16日のブロック決勝で都立城東と顔を合わせることになった。 4-2-3-1の都立南葛飾は、田村嶺斗が1年生ながら質の高いキックで中列後方から攻撃の起点となり、主将のMF齋藤光輝や1トップの伊佐軒俊(ともに3年)が相手ゴールに迫った。 4-3-3の都立桜修館中等は、アンカー北村拓真(3年)が左右からロングスローを投じ、ボランチ兼子友希(3年)のパス出しなどからもチャンスをうかがった。 しかし前半は両チームとも敵の堅守に手を焼き、可能性のある決定打を放てないまま0-0で終了。 都立南葛飾は18分に右CKから伊佐の惜しいヘディングシュートと追加タイムに田村が右足で狙った2本だけ。都立桜修館中等は25分、兼子の蹴った右CKをボランチ吉清孝太郎(1年)がヘッドで合わせた1本に終わった。 そんなこう着状態の中、都立南葛飾が先手を取った。後半4分、田村の右CKを伊佐がファーポストから頭でつなぎ、そのボールをCB中根伶(3年)が見事な左足ボレーでたたき込んだ。 副主将の中根は「あのパターンは練習していました。チームメートの誰かが必ず折り返してくれると信用していた。前半はロングボールを多く使いましたが、後半からはパスをつなぐやり方に変え、うまくいったと思います」と振り返る。 その後は大きなチャンスこそ訪れなかったが、16分に決めたPKが決勝点となった。右MF矢城健(1年)のシュートが相手ハンドの反則を誘ってPKを獲得し、これを齋藤がGKに反応されながらも左隅に沈めた。 都立桜修館中等は後半23分からFWを2人、DFを1人交代させて局面打開を狙った。それでもなかなか好機を築けなかったが、31分に鮮やかな逆襲・速攻を仕掛けて1点を返した。MF小日向穣(3年)が右から軽快に運んで最終パス。FW片桐岳志(3年)が右足できっちり合わせ、ネットを揺らした。39分には主将のCB水口凛大郎(3年)が、右CKのボールをヘッドで完ぺきに捕らえたが、GKの正面を突いて同点ゴールとはいなかった。 就任3年目の水上竜一監督は「前半に先制して逃げ切れたらと思っていたのですが、向こうの守りは想像以上に粘り強かった。左からの攻撃も質が高く、見習う点がありました」と対戦相手を尊重することも忘れなかった。 学校は世界各国で読者を獲得した人気サッカー漫画『キャプテン翼』の原作者、高橋陽一さんの母校でもあり、ユニホームのエンブレムに描かれたイラストは高橋さん自筆のものだ。高橋さんがオーナー兼代表取締役の関東リーグ1部、南葛SCのホームゲームには部員が運営の手伝いをする間柄という。 水上監督は「今の1年生から5人までサッカー推薦で入学できるようになり、顧問も教員が3人にGKコーチとトレーナーが各1人、外部コーチが2人という指導体制なんです。サッカー部から人気を高めようと、学校を挙げてバックアップしてくれています」と恵まれた環境に感謝する。 昨年は1次トーナメント1回戦で敗退しただけに、中根は「チームの最高成績がベスト16なので今年は8強を目指します」と部の歴史を塗り替える覚悟でいる。 (文・写真=河野正)