インフレ時代に強いと言われるのはなぜ?今さら聞けない「金投資」の超基本【FPが解説】
2020年8月の平均した金価格は1グラム6,757円でしたが、2023年10月には1万円を超え、その後も高値を維持し続けています。そんな価格上昇で注目が集まっている金投資ですが、金はインフレに強いというのも大きな魅力です。そこで本記事では、ファイナンシャル・プランナーの横川由理氏の著書『知らなきゃ損! インフレってなに?』(自由国民社)から、金投資の基本と魅力について解説します。 都道府県「最低賃金」ランキング
登場人物 かあさん(横川由理) FPとして活躍する本書の著者。「正義の味方になる」「迷ったらやる」「専門用語を使わない」をモットーに、資産運用に悩む人たちにわかりやすくアドバイスを行う。桃太郎の育ての母。 猫の桃太郎(ももちゃん) 生まれたばかりで迷子になり、横川さんの息子の由比(ゆい)君に保護された♂猫。横川家に迎えられ、かあさんが哺乳瓶でミルクをあげてすくすくと育った。人間と話ができる不思議な能力を持つ。
インフレに負けない「金投資」3つの魅力
かあさん:インフレに負けない方法は、物価が上がるのと同じか、物価以上に値上がりする商品に投資をすること。資産を守る方法には「投資信託」と「金」があるんだけど、今回は金について話すわね。 桃太郎:金か。考えたことなかったな~。 かあさん:金に投資することは、自分のお金を守りながら増やすことよ。金に投資をする魅力は3つあるの【図表1】。ひとつ目は実物資産なので、金の価値がなくならないこと。株式はその会社が破綻してしまうと、価値はゼロになってしまう。でも、金はそのものに価値があるのよ。 桃太郎:実物資産ってなに? かあさん:不動産や貴金属など実際に形があるものは実物でしょ。そして、それ自体に価値があるものを実物資産と呼ぶのよ。これに対して、預金や株式などを金融資産と呼ぶわ。 桃太郎:実際に存在するもの、かつ、価値があるものね……。 かあさん:じゃあ、なんで金の価値が高いのかな? 桃太郎:ピカピカして、きれいだからー? かあさん:それはね、十分な金が採れないからよ。モノの値段は需要と供給で決まるんだったわよね。金を欲しい人がたくさんいる(需要が高い)けれども、金の量(供給)が少ない。こういうときは金の値段が上がっていく。金は世界中の人が欲しがる資産よ。でも、地下資源だから掘り出す量には限りがあるの。希少性がある、ということは価格が下がりにくい資産だといえるわね。経済危機や戦争などが起こると、みんなこぞって金を買う傾向があるわ。 桃太郎:なんで? かあさん:経済危機が起こると、株価が下がるの。経済危機は、たとえばリーマンショック(2008年)、コロナショック(2020年)、ウクライナショック(2022年)と、割と頻繁に起こる。経済危機から金融危機が起こるの。 桃太郎:金融危機……? かあさん:金融危機が起こると、金融機関の経営が悪化し世界中で景気の後退が起こる。ときには大不況をもたらすこともあるの。リーマンショックでは、100年に一度の金融恐慌といわれたわ。日経平均株価も、なんと6,000円台にまで値下がりよ。今は4万3円(2024年3月19日終値)だから今の値段の7分の1くらいよ。そしてその影響は世界中に連鎖していったわ。 桃太郎:こ、怖い……。 かあさん:経済危機や金融危機が起こると、株価が下がるので、売ってしまって、代わりに金をみんなが買うのよ。金は、株式と違って価値がゼロにならないからね。金は、国際情勢の変化に対して強いと考えられている。 桃太郎:そうなんだ。