慶應は世帯年収1200万円未満に「給付型」 大学の奨学金制度、知らないと損
慶應大は年収1200万円未満で給付
一方、JASSOの給付型奨学金が対象外となる家庭でも、チェックしておきたいのが大学独自の奨学金です。条件はそれぞれ異なりますが、例えば、慶應義塾大学の給付型の奨学金の収入条件は父母の合計額が1200万円未満(事業所得は792万円未満)。近畿大学は822万円以下(同414万円以下)、関西学院大学は850万円以下(同442万円以下/家族の人数などによる)と、間口が広いのが特徴です(各大学ウェブサイトから、2024年度)。 その中身についても、例えば慶應義塾大学の「学問のすゝめ奨学金」は、「東京・神奈川・千葉・埼玉以外の高校等出身者」「入学後、自宅外から通学予定」「高校等の教員からの推薦書が必要」などの条件はあるものの、審査に通れば年額60万円(医学部は90万円、薬学部は80万円)を最長4年間(医学部・薬学部薬学科は最長6年間)受けられます。上記の金額とは別に、入学金相当額(20万円)の給付もあります。返済義務はなく、採用候補者数は550人以上となっています。文学部や経済学部などの学費が年間120万円程度ということを考えると、申請が通れば学費に関しては国公立大学と同じくらいの負担で通えることになります。
「受験するかも」と思ったら申請
ただし、大学に出願書類を出してから情報収集するのでは、手続きが間に合わないことも少なくありません。例えば、JASSOの奨学金を1年次から受けるには、高3の春先または大学等に入学する4月頃には申請が必要なところが大部分です。大学独自の奨学金も同様に、例えば慶應義塾大学の「学問のすゝめ奨学金」の申請期間はおおむね10月末~11月末のわずか1カ月となっています。 「高校で資料を配布されても、お子さまがカバンに入れっぱなしだったり、保護者が対象外だと思い込んで申請をしそびれてしまったりするケースは少なくありません。こまめに情報収集して、出せるものは出しておきましょう」(竹下さん) また、見落としがちなのが、奨学金は大学入学後に給付金が振り込まれることが多いということです。そのため、入学金や前期授業料など、入学前に振り込みを求められるお金はあらかじめ用意しておくか、心配な場合はまとまった金額を借りられる教育ローンを利用するなど、対策を考えておいたほうがよさそうです。 実際に、全国大学生活協同組合連合会が24年に大学・短期大学の新入生の保護者に行ったアンケート(回収数2万5857人)では、受験からにゅうがくまでに費用面で準備・工面したこと(複数回答)について、学資保険・通学用貯金を活用した家庭が54.4%。貯蓄を崩した家庭が34.7%でした。 「奨学金には、留学費用をサポートしてくれるもの、事情により収入が減少した家庭を対象に通年で申請できるものなど、いろいろな種類があります。奨学金は情報戦です。『足りなくなりそうだな』と思ったら、諦めずに調べてみてはいかがでしょうか」(竹下さん)
朝日新聞Thinkキャンパス