神戸がロティーナ新監督初陣でも泥沼の10試合連続未勝利…課題の守備システムに手をつけなかった理由とは?
10試合を終えて「5」の総得点はリーグで3番目に少なく、対照的に「16」の総失点は同ワースト。ACLと日程が重複する関係で2試合が前倒し開催され、消化試合数が他のクラブより多いとはいえ、好守ともに明るい兆しは見えてこない。 クラブも大ナタを振るった。2020年9月から指揮を執ってきた三浦淳寛監督(47)を3月20日に解任。スペイン出身のリュイス・プラナグマ・ラモス監督(41)を内部昇格させ、暫定的に2試合の指揮を執らせるも立て続けに逆転負けを喫した。 迎えた8日。東京ヴェルディ、セレッソ、清水エスパルスで指揮を執ったスペインの知将、ロティーナ監督の就任が決まった。20日間で2度におよんだ監督交代を、元スペイン代表のFWボージャン・クルキッチ(31)はこう振り返る。 「それぞれの監督はメンタリティーも考え方も違うので、選手がそれに適応するのは難しい。短期間で準備しなければいけない点で、新監督にとっても難しかったと思う」 セレッソ戦へ向けて練習を積めたのはわずか2日間だけ。緻密なポジショニングを徹底させたゾーンディフェンスを戦術の基本にすえるロティーナ監督は、しかし、期待された守備面の改善にはほぼノータッチというスタンスを取った。 理由は単純明快。いきなり自身のイズムをあれこれ注文しすぎては、かえって選手たちの思考回路が混乱をきたすと判断したからだ。ビルドアップの部分を中心に攻撃面で課題を整理し、臨んだセレッソ戦のハーフタイムに誤算が生じた。 イニエスタをMF中坂勇哉(24)に代えた理由を指揮官はこう説明した。 「彼から交代を希望された。ここ数日間の練習ではよかったが、今日はあまり感覚がよくなく、疲れを感じていたということで、あのタイミングでの交代となった」 前半27分に喫した決勝点も、防げたものだった。 センターサークル内でボールを持つDF西尾隆矢(20)へ、イニエスタが猛然とプレスをかける。しかし、後に誰も続かない。イニエスタをかわした西尾は余裕を持ってボールを持ち運び、左タッチライン際にいたDF山中亮輔(28)へパスを通した。 ここでも寄せが甘く、利き足の左足から山中にアーリークロスを上げられる。神戸の最終ライン4人に対して、セレッソは2トップだけ。ゴール前の数的優位は保たれていた状況でフリーにしてしまった加藤に、今シーズン初ゴールを決められた。