神戸がロティーナ新監督初陣でも泥沼の10試合連続未勝利…課題の守備システムに手をつけなかった理由とは?
明治安田生命J1リーグ第8節が10日に行われ、今シーズン3人目の指揮官、ミゲル・アンヘル・ロティーナ新監督(64)を迎えたヴィッセル神戸がセレッソ大阪に0-1で敗れ、開幕から続くリーグ戦の未勝利を4分け6敗の「10」に伸ばした。 ホームのノエビアスタジアム神戸で初勝利を目指した神戸だったが、前半27分にセレッソのFW加藤陸次樹(24)に先制ゴールを許し、さらにキャプテンのMFアンドレス・イニエスタ(37)が疲労を訴えてハーフタイムに交代。大黒柱を欠いた後半もゴールは遠く、開幕連続未勝利の不名誉なクラブワースト記録をさらに更新した。 試合後には16日からタイ・ブリーラムでグループステージが集中開催される、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)へ向けた壮行会が開かれ、イニエスタが「今日からは頭を切り替える」と巻き返しを宣言。ロティーナ監督は「この遠征期間を使って、チームをしっかりと成長させる」と結果と戦術浸透の“二兎”を追うと力を込めた。
「必ずこの状況は改善できる」
待望の初勝利をあげて臨むはずだったACL壮行会を物語るように、神戸の選手たちは特製Tシャツ姿でホームのノエビアスタジアム神戸のピッチに姿を現した。 胸の部分にはこんな文字が綴られていた。 「神戸からアジアへ ROAD TO ASIA」 初陣を飾れなかったロティーナ監督が、ファン・サポーターへ心配無用を訴えた。 「確かにいま、順位のところでみなさんは心配していると思います。ただ、このチームには質の高い選手たちがそろっていて、必ずこの状況は改善できると信じています。まだ時間はあるので、必ず強いチームを作っていきます」 続いてキャプテンのイニエスタが、開幕から4分け6敗と依然として未勝利が続き、J2降格圏の17位に沈んでいる状況を謝罪。その上で巻き返しを誓った。 「サッカーにおいても人生においても、チャンスはいつもあります。2年前、同じような決してよくない状況のなかでACLへ向かい、状況を打開できたことをみんな覚えていると思います。今日からは頭を切り替えて、全員がACLを活用してこの流れを変えることに集中していかなければいけないと思っています」 2020シーズンに初めて臨んだACLで、神戸はベスト4進出を果たした。 グループステージの一部と決勝トーナメントが集中開催された中東カタールへ出発した時点で、イニエスタが振り返ったように神戸は5連敗の泥沼にあえいでいた。 しかし、5連敗は必然的なものでもあった。新型コロナ禍で降格なしの特例が設けられたシーズンで、上位進出の可能性も消滅していた状況におけるチームのメンタリティーを、イニエスタは「モチベーションを保つのが難しかった」と代弁していた。 「最後の数週間はどうしてもそれ(モチベーションの低下)が無意識のレベルで影響してしまうことがあった。一方でみんなの頭のなかには、ACLへの準備というものもあった。その意味でいまは、リフレッシュしたメンタリティーで戦えている」 今シーズンはまったく異なる。クラブ史上で最高位となる3位へ躍進した昨シーズンを超えようと臨むも、開幕から攻守ともに精彩を欠いてもがき苦しんできた。