【動画】先輩から代々続く完成なきジオラマ話題に ── 大阪工業大の鉄道研究部
運転席でながめる走行映像と向き合いながら、模擬運転に夢中になっている子どもたち――。大阪工業大学(大阪市旭区)でこのほど開かれた学園祭「城北祭」のワンシーンだ。同大学鉄道研究部がジオラマ方式の鉄道模型を展示。映像付き運転士体験など、理工系学生集団らしい技術を駆使して、訪れた人たちを魅了していた。
先輩から引き継ぐジオラマ、常に手を加え「完成」はなし
鉄道ジオラマは6メートル×5メートル。JR大阪駅を中心に、山ありトンネルありの起伏に富んだ風景の中を、模型電車が走り回る。部員たちご自慢の各種車両が持ち込まれたため、JR大阪駅に阪急電車が入線してくるという日常には見られない光景も実現した。 手作り感あふれるジオラマは、先輩部員たちから代々引き継ぐ。現在も少しずつ手を加え、完成はないとのこと。徐々に高くなっていく高架橋の橋ゲタは、微妙に高さが異なるため、プラスチック素材を1点ずつ切り出すことから始めるという。
JR大阪駅再開発プロジェクトは、ジオラマでもまだまだ続く
JR大阪駅の大改装に伴い、ジオラマの大阪駅も改装に着手。大屋根が織りなす大空間をリアルに再現したい。そこで、衛星写真を参考にしたほか、衛星写真が写し出せない建物内部は、部員たちが歩いて実測した。 広場の床に敷き詰められたタイルに着目。タイルの寸法と枚数をチェックすれば、広場の広さや形状がつかめるからだ。部員たちは弾き出したデータと模型の制約などを調整して、リアルで見栄えのする駅舎を作り上げた。駅周辺の再開発プロジェクトは、ジオラマでもまだ続く。 冒頭で紹介した運転士体験装置にも、理工系学生らしい技術が息づく。先頭車両内にマイクロカメラをセット。映像データを受信することで、走行中の運転席から見ている感覚の風景が、モニター画面に映し出される。刻々と変化する画面から高速走行の臨場感を味わえ、子どもたちばかりか、大人も運転士気分を満喫できる。
鉄道は乗って良し撮って良し、模型を作っても楽し
会場で部員たちが撮影した鉄道写真を展示。ローカル線の車両などにカメラを向けた写真から、部員たちの鉄道愛が伝わってくる。 「地元の暮らしぶりや季節の移ろいを感じさせる風景とともに、電車を撮るのが好きです」と話すのは、同大学工学部3年で、鉄道研究部の部長を務める藤本朋久さん。「鉄道は乗って良し、撮って良し、模型を作っても楽しい。いろいろな楽しみ方ができる多様性が素晴らしい」と、鉄道の魅力を熱心に語っていた。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)