「妻と結婚したのが人生で一番幸せでした」病院に突っ込み2人死亡事故 遺族の供述調書読み上げ「母は残りの人生を楽しめるはずだった」
去年3月に大阪市生野区で、病院に車が突っ込み高齢女性2人が死亡した事故。過失運転致死の罪に問われている男(72)の第2回公判で、遺族の供述調書が読み上げられました。 起訴状などによりますと、呉昌樹被告(72)は、去年3月に大阪市生野区で、通院先のクリニックから帰宅するために普通乗用車を運転中、道路を逆走。さらに歩道を乗り越えて生野愛和病院に突っ込み、黒田シマ子さん(当時86)と口池邦子さん(当時75)をはねて死亡させたとして、過失運転致死の罪に問われています。 逮捕時の取り調べで呉被告は「事故直前にくしゃみをして意識が遠のいた」と供述。今年3月の初公判でも「事故を起こしたことは認めるが、すでに気を失っていたため過失はなく無罪」と主張しました。 5月7日に大阪地裁で開かれた第2回公判では、死亡した黒田シマ子さんと口池邦子さんの遺族の供述調書が読み上げられました。 《黒田シマ子さんの子の供述調書》 「母は私が物心ついた時には、養護教諭をしていました。聖人君子のような人で、社会の模範になるような人でした。教え子の方々から、母のおかげでいまがあると感謝の手紙が来ることもありました」 「事故当日、母は入院していた弟の見舞いに来ていて、口池さんも付き添っていました」「86歳になっていましたが、残りの人生を楽しめるはずでした」 「どうしてこんな事故を起こしてしまったのか被告には正直に話してほしいです」 《口池邦子さんの夫(当時、単身赴任だった)の供述調書》 「邦子は家族にとって扇の要で、太陽のような存在でした。邦子と結婚したことが、人生で一番の幸せでした」 「『黒田さんを病院に連れていく』。これが最後の電話になりました。邦子のことを思い出すと涙がこみあげてきます」 遺族の供述調書によると、呉被告の親族からは謝罪の申し出はあったものの、被告本人からの申し出は現在までないということです。 次回公判は今年6月に予定されていて、引き続き証拠調べが行われます。 (MBS大阪司法担当 松本陸)