Moto2ソリダリティ決勝|カネットがバレンシアに捧げる優勝。小椋藍は粘りの走りも表彰台逃す
2024年シーズンのMotoGPを締めくくる最終戦ソリダリティGPがバルセロナのカタルニア・サーキットで行なわれた。Moto2クラスの決勝は、アロン・カネット(Fantic Racing)がポール・トゥ・ウィンを果たした。 【リザルト】MotoGP最終戦ソリダリティGP:Moto2クラス決勝 当初最終戦が予定されていたバレンシアが豪雨災害に見舞われたことで、バルセロナでの代替開催となったこのレース。5月のカタルニアGP以来、今季2度目の同地でのレースとなるが、今回は気温14度、路面温度は11度という5月とは大きく異なるコンディションでのレース開催となった。 ポールシッターはランキング2位を確定させているカネット。2番手にマヌエル・ゴンザレス(Gresini Moto2)、3番手にゾンダ・ファンデン・グールベルグ(RW-Idrofoglia Racing GP)というフロントロウだ。 2戦前のタイGPでチャンピオンを獲得した小椋藍(MT Helmets - MSI)は、5番グリッドからのスタート。チームタイトルも獲得したとあって、チームメイトのセルジオ・ガルシアとともにゴールドがカラーリングに入った特別仕様のバイク、ツナギでレースに臨んだ。 21周のレーススタートでは、小椋が好スタート。ゴンザレスに次ぐ2番手で最初のコーナーを通過した。1周目のターン5、2周目のターン1で複数台が絡むクラッシュが発生し、5人がリタイアを喫した。 小椋は2周目にフィリップ・サラック(Elf Marc VDS Racing Team)に抜かれるも、すぐに抜き返し2番手を奪還した。しかしそれ以上に勢いがあったのがカネット。スタートでは順位を落としたものの、素早くリカバリー。サラックを抜いた勢いのまま小椋をもパスして首位ゴンザレスを追った。 2番手争いの間にリードを広げていたゴンザレスを、カネットは4周目の最終コーナーでインに飛び込みパス。これで首位に立った。 この寒いコンディションでのタイヤのデグラデーションなど情報が少ない中でもカネットはハイペースをキープ。しかしゴンザレスも食い下がり、トップ3は0.5秒ほどの等間隔。小椋のすぐ後ろにモレイラが続くという上位の顔ぶれだ。 しかし小椋はジリジリとゴンザレスから遅れていき、レース折り返しを前に1秒差に。ゴンザレスもカネットから1秒離されると、カネットもペースを落ち着かせレースをマネジメントした。 だが残り6周ごろから各車のペースがダウン。中でもカネットの失速は大きく、残り4周でゴンザレスとの差が0.4秒を切った。僅差の表彰台争いを続けている小椋とモレイラも、残り3周のところで一時モレイラが先行。だが小椋もすぐに抜き返してみせた。 ゴンザレスはフィニッシュまで2周を残してカネットをロックオン。しかしターン1でオーバーテイクすることはできなかった。その後ろでは、モレイラが小椋のインに飛び込み、オーバーテイク。これで表彰台圏内の3番手に浮上した。 だがこれで諦めないのがチャンピオン。オーバーテイクポイントのターン10でなんとかバイクを止め、3番手を取り返した。しかしモレイラも然る者。最終コーナーでクロスラインを仕掛け、メインストレートに向けてうまく加速。先にチェッカーを受けたのは、チャンピオン小椋を下したモレイラだった。これで初表彰台を獲得したモレイラは、今季の新人王に。また、ブラジル人ライダーが中量級クラスで表彰台を獲得したのは1973年以来の快挙となった。 一方、首位争いはゴンザレスに決定的なチャンスを与えなかったカネットが優勝。被災したバレンシア出身のカネットは、バレンシア州旗を掲げながらウイニングラン。万感こもる優勝となった。 2位となったゴンザレスは、これでランキングでもポジションを上げ、小椋とカネットに次ぐランキング3位を獲得した。 小椋は苦しい中でもチャンピオンらしい強さを感じさせる粘りの走り。惜しくも表彰台を逃したが、満足感のある表情でタイヤスモークをあげるパフォーマンスで、ファンとシーズン終幕を祝った。