【社説】令状執行を警察に押し付けようとした公捜処、「力量不足」告白なのか=韓国
内乱首魁容疑がもたれている尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に対する逮捕令状が締め切り期限である昨日までに執行することができなかった。法的・政治的責任問題を回避しないと話した尹大統領が、国家機関である警護処を動員して裁判所が発行した令状執行を阻んだことは許されないことだ。 ここに共助捜査本部を構成している高位公職者犯罪捜査処(公捜処)と警察間のすれ違いまで露呈した。5日夜、公捜処は逮捕令状執行業務を警察国家捜査本部(国捜本)に一任するという公文書を送った。だが、国捜本は公文書に法的論争があるとして反発した。逮捕主体は令状を受けた公捜処になるべきで、逮捕を国捜本に一任すると言って「指揮」する根拠がないという理由からだ。その後、公捜処が送った公文書を回収して共助捜査本部体制は維持することにしたが、公捜処の無能と未熟さが露呈する結果となった。 警護処の抵抗を突破して法が執行されるためには現実的に両機関間の共助が必要だ。公捜処は裁判所に逮捕令状期日の延長を申請することにした。警察も今後の執行で警護処職員が抵抗すれば現場で逮捕する方案を積極的に考慮するという。公捜処は今回の機会に警察と協議して令状執行戦略を再点検するよう望む。意志と戦略もなく難しい仕事だけを警察に押し付けようとするような態度を見せては困る。これ以上の混乱は避けなければならない。公捜処の力量でできないと判断すれば警察に事件を完全に移行するほうがよいこともある。 今回の事例を見ると、文在寅(ムン・ジェイン)政府時期に推進された検警捜査権の調整と公捜処発足がどれほぼいい加減に進められたか知ることができる。検察の直接捜査を減らし、警察の捜査範囲を増やして公捜処までできたが、この過程で捜査対象と範囲が十分に調整されなかった。大統領は公捜処捜査の対象だが、公捜処が捜査できる犯罪からは内乱罪と外患罪は除外されている。このような弱点が尹大統領側に「公捜処は内乱罪の捜査権限がない」として持ちこたえる口実を与えた。 尹大統領側は公捜処の逮捕令状執行を不許可にしてほしいと言ってソウル西部地方法院(地裁)に異議申立をしたが裁判所は5日夜にこれを棄却した。逮捕令状を発行した李珣衡(イ・スンヒョン)令状専門担当部長判事ではなく刑事7単独の馬晟寧(マ・ソンヨン)部長判事が決めた。馬部長判事も「公捜処が職権乱用罪の関連犯罪で内乱罪を入れたことは違法ではない」と判断した。被疑者が判事の令状に応じないなら法治主義を維持することができない。尹大統領側で悔しいと思う部分があるなら、適法な救済手続きに従えばよい。 今回の捜査が終わったら、検察・公捜処・警察と3つに分かれた奇形的な捜査体制は必ず手を加えなければならない。共に民主党が呉東運(オ・ドンウン)公捜処長に対して「尹大統領を期間中に逮捕できなければ責任を問う」と圧迫する姿も望ましくない。粗末な法を作った当事者ではないか。