「いざ、出陣!」50万円の甲冑ランドセル 背負えば武将気分に? 国内外から問い合わせ
ランドセルの価格は5万~6万円が一般的ですが、50万円のモノが登場し、話題になっています。商品名は「赤色小札黄銅鋲背嚢具足」(あかいろこざねおうどうびょうはいのうぐぞく)。ランドセルのカブセ(ふた部分)のデザインが甲冑のように見えるので、背負うと「武将気分」を味わえるデザインになっています。 【画像】「50万円の甲冑ランドセル」じっくり見る(全10枚) このランドセルを開発したのは、創業1957年の村瀬鞄行(名古屋市)。国内最大の革製品コンテスト「JAPAN LEATHER AWARD 2024」に応募したところ、アーティスティックデザイン賞を受賞しました。 その後、この商品を紹介したXのポストが330万インプレッションを記録し、それをきっかけに国内外から問い合わせがあるようです。甲冑ランドセルを開発した背景やこだわりなどを取材しました。
開発のきっかけ
このランドセルの特徴は、ランドセルのパーツのみで甲冑のような形状を再現していること。カブセの部分は、量産時に出る端切れを1枚ずつつなぎ合わせることで、甲冑のようなデザインにしたそうです。 大マチ(幅のこと)部分は異なる革を組み合わせることで模様をつくり、下部には“にらみを効かせた顔”を左右につくって、より本物らしく見せています。つまり、形と色だけで、甲冑のように見せたランドセルといえます。 開発のきっかけについて、ランドセル職人の岡田憲樹さんに聞きました。 「ランドセルをつくる際に、コードバン(馬のお尻部分の皮のこと)を使っているのですが、どうしても端切れが出てしまうんですよね。その端切れを使って財布などをつくってきましたが、それでもどうしても余ってしまう。 以前から『なんとかこれを使うことはできないか』と考えていたところ、たまたまネットで甲冑の写真を見たんですよね。そのとき『端切れを使えば、甲冑デザインのランドセルができるのでは』とひらめき、開発を進めました」とのこと。 とはいえ、職人の岡田さんでも、甲冑ランドセルは一筋縄ではいきませんでした。本物の甲冑は、小札(こざね:甲冑に使われる小さな金属や革の板のこと)を糸で縫い付けていますが、コストと手間がどうしてもかかってしまう。岡田さんは「糸で縫うのは現実的ではない」と考え、ランドセルで使っている「鋲(びょう)」を採用しました。 甲冑ランドセルは複雑な形状ですが、開発期間は2~3カ月ほど。普段つくっている同社の商品「匠ランドセル」をベースにしているので、それほど時間がかからなかったそうです。 村瀬鞄行はこれまでにも、さまざまなコンテストに出品してきました。2022年、同アワードで「浮世鞄-富嶽-」(50万円)が特選に選ばれました。この作品は非売品でしたが、消費者から「欲しい!」「販売しないの?」といった声が多く、2024年10月に甲冑ランドセルと同時に販売しました。