地方自治体で婚活支援に本腰 長野県が専従職員で「センター」立ち上げ
地方自治体の婚活支援活動が活発になっています。人口減少や少子化が現実の問題として深刻化し始めたため、市町村や県が対策に本腰を入れ始めました。10月に長野市にオープンした「長野県婚活支援センター」もその一つ。阿部守一知事は「出会いがないという人をしっかり支えていきたい。職員も頑張ってほしい」と懸命の呼びかけをしました。 【写真】課題は「子離れ」「相続」……若年・中高年それぞれの婚活
移住やUターン就職促進を図るが……
長野県の調査によると、2016(平成28)年9月1日現在の同県の人口は208万7038人で、4年前の2012年(1月時点で約214万1000人)に比べ5万人余も減少。その対策として県外からの移住促進やUターン就職の支援などに取り組み、婚活支援も大きな柱になってきました。ほかの人口減少自治体も事情は同じです。 長野県婚活支援センターは長野市の県庁南側の県の出先庁舎の一角に開設。これまで本庁の次世代サポート課で取り組んでいた婚活支援をセンターとして独立させ、専従職員4人を配置しました。 センターの目的は県内に67か所ある市町村や社会福祉協議会など公的機関が運営する結婚相談所への総合的な支援と、情報交換などを通じた連携。センターの「情報発信・イベント担当」の加藤直美さんは、「地域での活動を支援し、県レベルで得られる情報を提供して活用してもらうとともに、各地の結婚相談所の横のつながりが持てるように協力していきたい」と話します。
役割大きい「地域の世話焼きさん」
具体的には、まず地域で婚活のきっかけづくりに取り組む「婚活サポーター」の拡充。出会いのきっかけづくりは地域で信頼されている「世話焼きさん」の役割が大きく、県は2013年にサポーター174人を県内で登録。その後登録者が増えて、今年9月には687人に。「婚活支援は人の力があってこそ」と、サポーター登録800人を目標にしています。 サポーターは自分の受け持つ人物にとって適切と思われる相手がいると、その人を担当しているサポーターと連絡を取り合い、男女双方が了解した上で見合いを設定。2人が互いに関心を持ち、納得すれば交際に進みます。この間、身上書の交換などが行われます。 これまでの3年間に行われた「お見合い」は1129件で、結婚に至ったのは68件。着実に成果は挙がっているとセンターは見ています。 センターは市町村や地域の社協などで活動している結婚相談員の研修会も行う一方、4人の職員のうち3人は婚活コーディネーターとして県内各地を巡回。地域の公的結婚相談所に情報提供したり、他の相談所とのイベントの開催などの相談に乗ることにしています。 このほか、ネットに設けた「ながの結婚マッチングシステム」も運営し、登録者の結婚相手探しや「お見合い」に至る支援などに取り組みます。また、大都市圏への情報発信で若者を呼び込んだり、県内企業との連携も進めるとしています。