打ち上げ後、飛行中断 衛星の軌道投入ならず、和歌山県串本のロケット
宇宙事業会社「スペースワン」(東京)は18日午前11時、和歌山県串本町田原の発射場「スペースポート紀伊」から、人工衛星を搭載した小型ロケット「カイロス」2号機を打ち上げたが、その後に飛行中断措置を行ったと発表した。詳細は調査中という。目標としていた、国内では民間初となる衛星の軌道投入は達成できなかった。 【ロケット打ち上げ後に飛行中断の動画はこちら】 カイロスは全長約18メートル、重さ約23トンの固体燃料ロケット。人工衛星を搭載し、打ち上げからおよそ53分後から54分後くらいに、高度約500キロで衛星を軌道投入する予定とした。 搭載したのは、台湾国家宇宙センター(TASA)の衛星など5機。 午前10時半過ぎ、串本町内の記者会見場でのライブ映像では田原の射場で緑色の射座点検棟が後ろに下がっていき、白いカイロスの機体が立つ様子が映し出された。1分前からのカウントダウンに続いて、カイロスは白煙とともに空高く上昇した。 同社はメールで11時3分、ロケットの1段と2段や、先端のフェアリングを分離したと発表していたが、13分にミッション達成困難と判断し、飛行中断措置を行ったと発表した。 同社は、小型人工衛星打ち上げに特化した宇宙輸送サービスを提供しようと、キヤノン電子やIHIエアロスペースなどが出資して2018年に設立。 初号機は3月9日の打ち上げ予定だったのが、打ち上げ前に海上警戒区域に船舶が残っていたため延期。同月13日の打ち上げでは、直後に自律飛行安全システムの作動で飛行中断して爆発した。2号機は今月14、15日とも射場上空の強風のため中止、延期となっていた。
紀伊民報