米国債売り、収まったとは到底言えず-ブラックロックなど警鐘鳴らす
(ブルームバーグ): ドナルド・トランプ氏が米大統領選に勝利したことで引き起こされた米国債売りは、早期に落ち着いたようにみえる。しかし、米国債市場の不安定な状態が終わったとは決して言えないと、ブラックロックやJPモルガン・チェースなど複数の金融機関が警鐘を鳴らしている。
連邦公開市場委員会(FOMC)が利下げサイクルを開始して2カ月足らず。トランプ氏が掲げる減税と大幅な関税引き上げが、既に強い米経済をさらに刺激し輸入品のコストを上昇させることで、インフレを再燃させるとの懸念が広がっている。
トランプ氏の財政政策は、大規模な歳出削減で相殺しない限り、連邦財政赤字の急拡大につながる。米国債の増発が続き、債券保有者がより高い利回りを求め始めるとの懸念もある。
オールスプリング・グローバル・インベストメンツの上級ポートフォリオマネジャー、ジャネット・ライリング氏は「債券市場が不快な金利上昇という形で財政規律を浸透させる」のが一つのシナリオだと述べた。
同氏は米10年債利回りが、2023年終盤に付けた5%に再び達すると予想する。先週末8日より約70ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)高い水準だ。トランプ氏が「公約に掲げてきた関税措置が完全に実施された場合はあり得る水準だ」と述べた。
米10年債と30年債の利回りは大統領選翌日の6日に急上昇したが、その後2日間で低下した。
しかし、ブラックロックでグローバル債券の最高投資責任者(CIO)を務めるリック・リーダー氏は、債券価格が現行水準から上昇すると期待すべきでないと投資家に話している。
JPモルガン・アセット・マネジメントCIO兼グローバル債券部門トップのボブ・ミシェル氏も、トランプ氏の返り咲きで米10年債利回りが上昇し、いずれ5%に戻ると警告する。
原題:Bond Market on Risky Path as Traders Regroup From Turbulent Week