互いに成長中のスクラム。天理大の攻撃、東海大の圧力を破れるか
この春は関西で4位となった天理大は、怪我人も癒え、良い夏を過ごした。 高原での練習試合は、明大との一戦で最終盤に逆転勝ち(29-28)した後、帝京大には21-48と敗れる。
しかし早大戦ではアタックが噛み合い、64-35と快勝。高い潜在能力を秘めていることを示した。 東海大戦は、8月16日から始まった夏合宿を締めくくる試合となる。
昨年の大学選手権準決勝の試合登録メンバー中4年生は7人だけと、経験値の高い選手が何人も残っている今季。この夏の各試合のメンバーを検証すると、上級生と下級生のバランスがいい。 シーズンの深まりとともに実力が高まっていきそうだ。
昨秋は出場機会も少なかった1番の森仁之輔はU20日本代表での活動を通して大きく成長。機動力もあり、大きな期待がかかる。 この夏も明大戦、帝京大戦、早大戦と、関東の強豪との対戦にすべて先発。経験値を増やしている。
昨季は前半を12番でプレーし、シーズン途中から15番で活躍する上ノ坊駿介は、今季もFBで高い攻撃力を見せている。菅平での明大、帝京大、早大戦のそれぞれでトライを挙げた。対戦相手にとっては脅威となる存在だ。 留学生たちのパンチ力も健在。SO筒口允之のゲームコントロールもチームのパフォーマンスに直結することになるだろう。
小松節夫監督は9トライを挙げた早大戦を終えて、「春は調子が良くなかったので、ここ(菅平)でなんとか上昇のきっかけをつかみたいな、と思っていました。怪我人も戻ってきて、スクラムなどのセットプレーが安定してきたので、うちのいいところがちょっとずつ出てくるようになった」と話した。
ただ、上向きになったチーム状況にも安心はない。敗れた帝京大戦については、「あの試合ではフィジカル面、特にスクラムでやられた。そうなると、いいところを出せなくなる」と振り返った。 自分たちの現在地をしっかりと把握する夏を過ごしている。