珠洲焼再び、希望の炎 被災後初の窯入れ 作家団体「創炎会」
●市陶芸センターで力合わせ作陶再開 珠洲焼の作家団体「創炎会」のメンバー4人は21日、能登半島地震から初めてとなる作品の焼成に向け、珠洲市陶芸センターで窯入れ作業を始めた。所属作家39人の大半が、地震で窯や工房が壊れる被害を受け、水害被災も重なった作家もいる中、公営の窯を共同で用いて作家活動を続けることにした。奥能登豪雨から1カ月の節目の日に、希望の炎を燃やして作陶を再開する。 珠洲焼の作家を育成する市陶芸センターに3基ある窯のうち、最後まで残っていた大型のまき窯の修繕が終わったことから、作家の共同窯として使用することになった。 21日は朝から、篠原敬会長、岩城伸佳副会長ら作家4人が、鉢や花入れ、つぼ、とっくりなどの形になった制作途中の約500点をセンターに持ち込んだ。4人は、高温の炎がどのように通り抜けるか想像しながら、窯の中での作品の配置を考えたり、焼成後に独特の模様が生まれるように、わらを巻き付けたりした。 篠原会長によると、市内には珠洲焼作家が47人おり、うち創炎会には39人が所属。地震後に珠洲を離れ、「珠洲焼」を名乗ることを断念する作家もいたという。 各自の窯や工房の再建に時間がかかることから、センターの窯を共同利用して作陶活動を再開し、作家個人のなりわい再建を図る。篠原会長は「復活できない窯元も多い中で、窯の共同利用ができるようになったのはチャンス。希望の炎にしたい」と話した。21日午後にも窯に火入れし、5日ほど高温で焼成して作品を窯出しする。