メキシコのメディナ（左）とのスパーリングを公開した那須川（撮影・足立雅史）

　無敗の格闘家でプロボクシングWBA世界バンタム級7位の那須川天心（25＝帝拳）が格上ランカーとの転向4戦目へ、豪華な実戦トレーニングで「疑似体験」した。20日、東京・両国国技館で同級4位ジョナサン・ロドリゲス（25＝米国）とのバンタム級超契約体重10回戦を控え、4日、東京・新宿区の所属ジムで練習を公開。先月下旬から来日した練習パートナーとなる同級でWBO3位、IBF4位のクリスチャン・メディナ（24＝メキシコ）との2ラウンドのスパーリングを披露した。 【写真】メキシコのメディナとのスパーリングを公開した那須川天心 　メディナは元WBCユース同級王者で、昨年8月、エディオンアリーナ大阪で現在IBF世界同級王者西田凌佑（六島）と同級挑戦者決定戦で対戦した世界3位ランカー。WBA4位の対戦相手ロドリゲスよりも「格上」を練習パートナーに招聘（しょうへい）する豪華なスパーリングで、安定感ある低い重心から力強さと破壊力の増した左ストレート、接近戦からのアッパー、右フックなど次々とクリーンヒット。那須川は「感覚的にはだいぶ良かったスパーリング内容。今までは距離だけで戦うことが多かったが、打ち込んだり、きめにいったり。うまく使い分けたい」と手応えを示した。 　過去最高ランクとなるトップレベルの練習パートナーとの実戦練習を終え、那須川は「今回のスパーリング相手はめちゃくちゃ強い。試合以上の経験ができている。自分でも（練習パートナーの）相手のレベルが一番高いと思う。頭を使い、すごく毎日毎日、安心できないスパーリングが続いている。その状況が試合前にできている。メンタル的にも良い時だけではない。良い時だけではない。良くない時から自分がそれを戻せることができている。選手としても、人としても成長できている」と声をはずませた。 　現在、練習パートナーとして呼んでいるメディナ、WBC世界スーパーバンタム級19位ヘスス・アレチガ（24＝メキシコ）とのスパーリング数を合わせ、計100ラウンドを超えている。指導を担当する元世界2階級制覇王者粟生隆寛トレーナー（40）から「試合よりもスパーリングの方が全然、きつい」と言われているという。那須川は「粟生さんに言われていることは本当だなと。その言葉を信じてやっています」と充実した笑みを浮かべていた。【藤中栄二】