夜遅くまで会社でダラダラ、たまにメール送信だけする社員…会社は残業代を支払う義務はある?
●会社側ができる「対策」は?
――では、会社側に何かできることはありますか。 このような事態を防ぐためには、例えば、以下のような対策を講じる必要があります。 ・上司がメール等で明示的に命令した場合を除き、残業は原則禁止とし、従業員が残業を希望する場合は、特に許可があった場合のみ認めることとする。 ・所定労働時間外の会社パソコンの使用も、原則禁止とする。 ・この方針を、文書等で通知し、記録を残す。 ・残業を許可する場合も、書面等で許可願を出させ、可能であれば、許可する時間数も明示的に制限する。 ・事前許可を得る時間的余裕がない状態で必要な残業をした場合も、事後的に残業時間数と残業の理由を明記した届出を出させ、会社が承認する形を取る。 煩雑と思われるかもしれませんが、細かい残業時間も積もり積もればかなり大きくなること、また、2020年月4月1日以降、残業代請求権の消滅時効が2年から3年に延びたことを考慮すると、まとめて残業代を請求された場合の会社の損害は無視できないレベルになる可能性があります。残業時間の管理には、十分な注意が必要です。 【取材協力弁護士】 中村 新(なかむら あらた)弁護士 銀座南法律事務所 2003年、弁護士登録(東京弁護士会)。現在、東京弁護士会労働法制特別委員会委員、2021年9月まで東京労働局あっせん委員。2023年4月より東京労働局労働関係紛争担当参与。労働法規・労務管理に関する使用者側へのアドバイス(労働紛争の事前予防)に注力している。遺産相続・企業の倒産処理(破産管財を含む)などにも力を入れている。