タンカー座礁、重油全て流出も 函館、漁協「ウニに臭い移る」
北海道函館市の恵山岬近くで6日にタンカー「さんわ丸」が座礁する事故があり、函館海上保安部は8日、重油の流出を確認したと明らかにした。船底の燃料タンクが破損したとみられ、重油59キロリットルが全て流出する可能性がある。現場は海岸から約20mの沖合で、付近はウニや昆布の漁場となっており、漁業への影響を懸念する声も出ている。 積み荷の軽油700キロリットルと灯油3100キロリットルは漏れていないという。タンカーを所有する愛媛県今治市の会社が民間のサルベージ船を手配し、沖合に引き出す準備を進めている。 海保によると、乗組員11人にけがはない。うち7人は、座礁で船体が約5度傾斜したことから下船を希望し救助された。重油流出を受け、拡散防止のため乗組員がオイルフェンスを張った。 現場付近の岸には油の臭いが立ちこめた。様子を見に来た漁師の高齢男性は「生活がかかっている。流出が広がってほしくない」といら立った表情を浮かべた。地元漁協の男性組合員は「ウニに臭いが移り、今シーズンの漁はもう無理だろう」と声を落とした。