手榴(りゅう)弾の訓練中に自衛隊員が死亡! 一体現場では何が起きたのか?
森下陸幕長による「手榴弾自体は目標付近に投てきされて正常に爆発した」との発表により、投てきの失敗や手榴弾の暴発などの可能性は否定されています。 そうなると考えられるのは、亡くなられた射撃係の隊員が手榴弾の爆発時に、壕の中に身を隠しきれていなかったという状況です。ただ亡くなられた隊員は29歳の3等陸曹ということで、投てき訓練にも十分な経験があり、壕の外に出る危険性は十二分に認識していたはずです。となると、残された可能性は、何か不測の事態が発生し、指導係の頸部が壕の外に出てしまっていたという状況ではないでいでしょうか。 身を隠しきれていなかった隊員を庇(かば)った? 他の隊員の破片が飛散? 詳細が発表されていませんので断定はできませんが、現在明らかにされている情報をもとにすると、亡くなられた指導係は、訓練を受ける隊員の命を守るという責務を立派に全うしたといえると思います。 防衛省は、特進や遺族補償を検討すべきですし、状況によっては国家賠償も必要な事案だと思います。同時に、事故があった訓練に参加していた隊員のメンタルケアも行うべきです。国防のために身を危険に晒して日々訓練に励む自衛隊員たちが使い捨てにされない自衛隊であってほしい。それが、いちOBとしての願いです。 文/猫中佐 写真/陸上自衛隊 名寄駐屯地公式X