映画「アイヌプリ」完成 白糠ロケ、きょうから順次全国公開
北海道白糠町内をロケ地とし、現代のアイヌ民族の日常生活を追ったドキュメンタリー映画「AINUPURI」(アイヌプリ)が完成し、14日からイオンシネマ釧路を始め全国で順次公開される。 監督は「山女」でTAMA映画祭最優秀新進監督賞を受賞し、「SHOGUN将軍」(ディズニープラス)でも監督を務めた福永壮志氏(42)で、主演は白糠アイヌ協会会長の天内重樹さん(39)。日常の中でアイヌプリ(アイヌ式)を実践する家族の、等身大の姿を映す。 福永監督は北海道伊達市出身。16年間アメリカで暮らした経験があり、白人と先住民が侵略の歴史を共有しながら関係を築いていることを知って、北海道の和人とアイヌ民族を映画で描こうとテーマに選んだ。 2作目の監督作品「アイヌモシリ」の撮影中に阿寒湖で天内さんと出会い、伝統的なサケ漁「マレプ漁」に携わる姿を見て、ドキュメンタリーにすることを決意。撮影は2019年から22年まで、天内さん一家に密着して行われた。作品では天内さんとその家族、仲間の日常を通じて、現代を生きるアイヌ民族の姿と、父から息子へ受け継がれていく伝統を映し出す。 13日に町役場で開かれた完成報告会で福永監督は「天内さんの人間としての魅力と、そこからにじみ出るアイヌ民族の精神を伝えたい」と作品をPR。主演の天内さんは「アイヌ語を話していなくても、古式舞踊を踊っていなくても、アイヌ民族は普段から周りにいる。自分にスポットが当たったことで、先住民への偏見がなくなるきっかけになれば」と述べた。 棚野孝夫町長は「今年ではシサムに次いで2作品目の、町で撮影したアイヌ文化がテーマの映画であり、アイヌ民族が果たしてきた役割を全国に発信するとともに、町の活性化につながることも期待したい」と成功を祈った。
釧路新聞