【柴田亜衣氏の解説】初戦の入りの難しさ 硬さ、重さあった池江選手 勢いある17歳の平井選手
「パリ五輪・競泳女子100mバタフライ・予選」(27日、ラデファンス・アリーナ) 【写真】タイムを見つめる池江璃花子 ヒヤヒヤ準決勝進出に表情が凍る 2大会ぶり個人種目出場となった池江璃花子(24)=横浜ゴム=が57秒82の全体14位、初出場の平井瑞希(17)=アリーナつきみ野SC=は56秒71の全体2位で、ともに準決勝に進んだ。準決勝は現地時間同日夜に行われる。アテネ五輪女子800メートル自由形金メダリストの柴田亜衣氏が2人の泳ぎを解説した。 ◇ ◇ 池江選手の泳ぎは少し硬さや重さが見て取れました。競泳選手はよく「詰まった」という言い方をするのですが、池江選手の予選は最後の伸びが足りなかった気がします。レースでは緊張で前半に硬くなり、力みから後半バテるということがあります。今回の予選は競技が始まって最初のレースですから、五輪会場の雰囲気を感じて、いきなり泳ぐ難しさがあります。本人も五輪への思い入れがあるでしょうし、緊張はあったかもしれません。 しかし、一度経験すれば準決勝は落ち着いて切り替えられるのではないでしょうか。技術面や体力面をすぐに修正することは難しいですが、精神面は切り替えが可能です。56秒台を出さないと決勝進出は難しいですが、準決勝で何秒、決勝で何秒と目標を定めて自分のタイムと向き合っていけば目指すことは可能でしょう。準決勝はほかの選手もタイムを上げてきますから、池江選手にも頑張ってもらいたいです。 全体2位に入った平井選手は17歳と若く、6月の試合でも好タイムを出していて勢いがあります。不安要素がないのだろうと思わせる伸びやかな泳ぎ。初の五輪は緊張しがちですが、自分のタイムと向き合いながらマイペースで臨めたのではないでしょうか。準決勝もこの調子で、積極的なレースができれば決勝進出は十分期待できます。 この日の競泳種目で着目したのは、プールの水深が近年の国際大会会場より浅い、2・2メートルという点がどう影響するのかということです。平井選手が「水を飲んじゃった」と話していたのは、波が起きやすいことも関係したのかもしれません。ただ、会場についてはほかの選手も同じですから、この条件で戦っていくしかないですね。 私自身の経験をお話しすると、実は水深などプールの条件はあまり気にならないタイプでした。また、順位を意識しすぎるとダメだったので目標タイムを設定して、自分の泳ぎをすることを心がけました。前回の東京五輪は無観客だったので、観客が大勢入った今回は雰囲気も独特だと思います。私はお客さんが振ってくれる日の丸にニコニコと手を振って応えるタイプでしたので、そういう風にプラスに捉えるのがいいのかなと思います。