【学生長距離Close-upインタビュー】悔しさ糧に成長した中央学大・近田陽路 「全員がいい記録を出せるチームに」
勝負の3年目。周囲を驚かせる走りを
箱根に対する強い情熱を持つ川崎監督。選手以上の熱意を近田も日々感じている。 一方、小学校時代に走る楽しさを教わったTTランナーズ。代表を務めるのは箱根駅伝第60回大会(1984年)の早大優勝メンバーで、7区区間賞を取った仲井(旧姓伊藤)雅弘さんだ。川崎監督も順大3年時に同じ大会の7区を走っており、区間9位。40年の時を越え、同じ区間で競った2人が近田を育てているのは何かの縁だろうか。 今年4月13日の日体大長距離競技会では、5000mで14分05秒70をマーク。狙っていた13分台には届かなかったが、着実にスピードもつけてきている。 3年目のシーズンの目標は明確だ。「エース頼りではなく、みんなで助け合って全体を引っ張り上げたい。練習がうまくいかなくて落ち込んでいる人がいたら励ましたり、全員がいい記録を出せるようなチームにしたい」。 陽路という名前は「日の当たる道を歩いていってほしい」という両親の願いが込められている。どんなにつらいことがあっても、きっといいことがある―。近田が写る写真は走っている時以外はほぼ笑顔なのが印象的だ。 TTランナーズの仲井代表からは箱根後、「来年や再来年があるから挽回できるよう頑張れ」と励まされた。後輩の中高生たちに近田はこう伝えたいという。「努力しようと思えば、人はどこまでも頑張れる。ぜひ高い目標を持って競技に取り組んでほしい」。 自らは勝負の大学3年目。箱根の悔しさを糧に、周囲をもっと驚かせる走りを見せるつもりだ。 ◎こんだ・ひろ/2003年12月3日生まれ、愛知県豊橋市出身。豊橋羽田中→豊川高→中央学大。自己記録5000m14分05秒70、10000m29分16秒76、ハーフマラソン1時間2分08秒。
荒井寛太/月刊陸上競技