「殿」の発言注目集まる ご乱心?理にかなう?
「殿ご乱心」。10年前の東京都知事選で、細川護熙元首相が「脱原発」を公約に掲げて出馬したとき、当時の甘利明経済再生担当相は、細川元首相が熊本でかつての藩主の系譜に連なることにちなんで皮肉った。 【画像】島根県での目撃情報をマップ化
同じ「殿」の発言が注目を集めている。秋田藩主佐竹家の21代分家当主、佐竹敬久秋田県知事である。クマ被害がいかに深刻で、クレーマー対応で職員がどれだけ疲弊しているかを伝えたかったのだろう。駆除を批判する執拗(しつよう)な電話が県に寄せられているとし「おまえの所に今(クマを)送るから住所を送れ」と言い放ち、さらに「ドローンでクマに爆発物を食べさせ、体内で爆発させるクマ用ウエポンを開発する」と型破りなアイデアを披露した。 愛媛特産の「じゃこ天」を「貧乏くさい」と酷評し、謝罪に追い込まれた過去があるだけに「殿ご乱心か」と思いきや、どうも違うらしい。 毅然(きぜん)とした姿勢を見せて部下に安心感を与える一方で、クマ用ウエポンという奇想天外な発言で親近感を醸し出す-。実はリーダーとして理に適(かな)った発言らしい。 カスタマーハラスメント(カスハラ)対策が進んだこの一年。「クレームは貴重な情報源」という風土の下で、不自然な上下関係だった顧客と従業員の関係が変わり始めている。トップが明確な姿勢を示すのがカスハラ対策の要諦。「殿よくぞおっしゃった」。秋田県民の多くはこう思っているだろう。