うちの子の特性はどのタイプ?わが子の才能を見つけて最大限に伸ばすには、子どもの「認知特性」を知って【小児科医】
外からインプットした情報を脳内で整理、理解、記憶し、表現する方法は、大きく3つのパターンに分けられ、人によって得意なパターンがあります。これを「認知特性」と呼びます。 小児科専門医であり、認知特性を長年研究している本田真美先生に、認知特性を知って、それを子育てに生かすためのヒントについて聞きました。 2人の子の母親である本田先生の家族の、わかりやすいエピソードも教えてもらいました。 全4回のインタビューの1回目です。 【画像】最新の脳科学でわかった、0カ月から10歳の子どもの脳の領域【専門家】
外からインプットした情報の理解・記憶と表現のしかたは人によって違う!?
――本田先生が研究している「認知特性」について簡単に教えてください。 本田先生(以下敬称略) 目で見る、耳で聞く、文字を読むなどで得た情報を頭の中で理解、整理、記憶し、絵や図、言葉、文字などで表現するまでの一連の情報処理のやり方を認知特性と言います。だれもが同じ方法で理解や整理をしているとは限らず、人それぞれに認知のしかたがあります。 「みんなと同じようにできない」と感じることがあったとして、それは能力が劣っているわけではなく、認知特性の違いのために100%の力を発揮できていないのかもしれないのです。 ――人によって違うという認知特性には、どんなパターンがあるのでしょうか。 本田 人それぞれに得意不得意があるのですが、得意なことを主にとらえて、言葉での情報を論理的に処理するのが得意な「言語優位」、目で見た情報を処理するのが得意な「視覚優位」、聞いた音情報を処理するのが得意な「聴覚優位」という3つのパターンがあります。 たとえば4人家族のわが家は、私が言語優位、夫と息子が視覚優位、娘が聴覚優位です。3つのパターンが全部存在する家族です。 ――本田先生が認知特性に興味を持ったのは、視覚優位の夫さんと結婚したことが大きかったとか。 本田 私は認知や気質にかたよりを抱える発達障害の子どもたちと接する機会が多く、医学的・教育的サポートを考えるために、認知のパターンを探る研究を長年しています。 でも、認知の違いについて本当に実感したのは、広告デザイナーの夫と出会ってからでした。つき合い始めたころ、夫がデザインした「不老長寿」をテーマにした雑誌の表紙を見せてくれたんですが、それは亀の上に鶴がのっているというもの。夫は「不老長寿」というテーマから「鶴」と「亀」をイメージしたそうです。 私は「不老長寿」と言われたら漢字四文字が頭に浮かび、「いつまでも年を取らず長生きをする」と、言葉の意味を理解します。「鶴」とか「亀」なんて出てきません。しかし、夫はそうではありません。同じ言葉を聞いてもそれを頭の中で理解、処理し、表現する方法は違うんだ…と理解した瞬間でした。