中国で「サイゼリヤ」に行列ができる秘密、節約志向が追い風に、現地限定のメニューも
麻辣スパゲッティも14元(約280円)と、こちらもお手頃価格。四川料理のような激辛の麻辣ではなく、ピリリとした麻辣風味がきいていて美味しかったが、Tさんは「わざわざサイゼリヤに来たら普通のイタリアンを頼んでしまうかも」という感想だった。 中国本土では、398店舗を展開中(2024年4月時点)。景気が停滞気味の中国では、やはりコスパよくイタリアンが食べられるというのはありがたいようで、筆者らが店を出る昼の12時半ごろには店内は満席。店の外にまで行列ができているという盛況ぶりだった。隣の席に座る家族も頼みたい料理を好きなだけ頼んでテーブルはたくさんの料理で溢れかえっていた。
■かなりリーズナブルに感じる価格設定 せっかくなので、筆者が住む香港にある香港島側の北角(ノースポイント)のサイゼリヤにも足を運んでみたところ、こちらは店内の装飾も日本とほぼ同じようなつくりになっていた。香港にいながら日本のサイゼリヤにいるような気分にさせてくれるところも(日本人的には)嬉しいポイントだ。 ミラノ風ドリアが30香港ドル(約600円)、マルゲリータも30香港ドル、黒胡椒ハンバーグは35香港ドル(約700円)。中国本土や日本のサイゼリヤと比べると一見高く感じるが、そもそも香港は生野菜や、輸入に頼る乳製品など、なにかと食材費が高い。香港在住者からするとかなりリーズナブルに感じる価格設定だ。
店内を見渡すと、やはり高校生のような若者から家族連れ、年配層まで満遍なくさまざまな客層が訪れており、香港でも幅広い層にリーズナブルにイタリアンを楽しめる場所として認知されているようだった。 さてここまで、中国本土の現地の様子を中心に紹介してきた。今度は戦略面から、人気の秘密を分析してみよう。 サイゼリヤが上海に中国1号店をオープンしたのは2003年12月。1990年代に中国進出した吉野家、味千ラーメンの成功に加え、2001年12月にWTO(世界貿易機関)に加盟したことで中国市場の潜在力が注目され、日本の外食企業の最初の中国進出ラッシュが起きた時期だ。