深圳の日本人児童殺害事件で“ズレる釈明”日本と中国で広がる感情の溝
「容疑者が身柄拘束されて2日が経っている。動機について何か説明できることはありませんか?」 スポークスマンはこう答えた。 「私の知る限り、関係部門が捜査を継続しています。具体的な情報については、関係当局に尋ねてほしい」 中国の外務省は本当に知らないのだろうか? 今年6月には江蘇省蘇州で、やはり日本人学校の児童とその母親が男に刃物で切りつけられる事件も起きている。3か月が過ぎたが、依然、犯人の動機がわからない。 記者会見で日本経済新聞の記者が、その蘇州の事件も指しながら、質問している。 「6月から捜査はどう進んでいますか。中国に住む日本人は深圳と蘇州、この二つの事件をとても心配している。中国はこの二つの事件の捜査が終了したら、犯人の動機や背景、事件の詳しい内容を公表するつもりはありますか?」 NHKの記者もこう迫った。 「犯人は、日本人を標的にしたのか? 外務省はどう考えているのですか?」 これらの質問に、スポークスマンはこう答えた。 「日本側、そして、中国で暮らす日本人の懸念を、私は理解できます。説明できるのは、容疑者がすでに拘留されていること。犯行動機はどこにあるのか。詳しい捜査によって解明される。私は情報を持ち得ていないのです」 日本人だから狙ったのかどうか。6月の蘇州の事件も、今回の深圳の事件でも、中国側はいずれも容疑者は社会に不満を抱いていたり、犯罪の前歴があったりしたことを挙げ、「個別の事件だ」「偶発的事件だ」と説明した。「偶発的な個別の事案」と位置づけて、「日本人を狙った事件ではない」と火消しに回っている。 ■日中間の距離を広げるような発言 しかし、同じ20日の記者会見では、さきほどの米国の通信社記者は、その点を突いて、厳しい質問を続ける。 「犯行動機がつかめていないのなら、どうして『個別の事件』と断定できるのか? スポークスマン、あなたは『動機はわからない』と言いながら、一方で我々に『個別の事件だ』と説明した。これって、矛盾していないだろうか?」