ビジネス界で評価される「自責思考」は危険すぎる…和田秀樹が「つらいことからはすぐ逃げろ」と説く理由
■「自責」と「他責」をバランス良く育てていく 自己完結型になってしまう理由は、生まれつきの性格もありますが、共通するのは、他人を信用していないという点です。 他人に頼るより自分で進めたほうが効率よく無駄なく進められるからです。自分のやることや考え方に口出しも干渉もされたくないのです。 このようなタイプの人間がリーダーだと、いきなりあなたに仕事をふってくることも多く、よくわからずオタオタしていると「頭が悪い」「仕事ができない」と評価されます。とてもやっかいです。 攻撃の根っこにあるのは、コンプレックスの裏返しです。「頭が悪い」というのは、自分が何より言われたくないことでもあるのです。 一方の他責思考型は、当事者意識が薄いがゆえに、「自分のせいではない」「関係ない」ととらえるため、ストレスを抱えにくいというメリットがあります。 周囲を見渡して(良く言えば大局を見て)、客観的に物事をとらえて自分がいかに悪くないか、エクスキューズするのが上手です。 ずるいといえばずるいのですが、自責と他責の両方をバランス良く自分の中で育てていくことが重要です。 ---------- 和田 秀樹(わだ・ひでき) 精神科医 1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、アメリカ・カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。国際医療福祉大学教授(医療福祉学研究科臨床心理学専攻)。一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)。川崎幸病院精神科顧問。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わっている。2022年総合ベストセラーに輝いた『80歳の壁』(幻冬舎新書)をはじめ、『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『老いの品格』(PHP新書)、『老後は要領』(幻冬舎)、『不安に負けない気持ちの整理術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『どうせ死ぬんだから 好きなことだけやって寿命を使いきる』(SBクリエイティブ)など著書多数。 ----------
精神科医 和田 秀樹