【石破政権に魂のエール】トランプ「王者の帰還」に困り果てる日米界隈も、安倍ちゃん時代を超える関係強化は可能だ
■ トランプ氏と対話可能な位置にいることを証明した石破首相 大統領選挙の結果で動く資金や政治的影響が大きいからこそ、多くの人たちは正確な予測を知るために相応の契約金を払って情報を得ようとしていているわけですが、その情報がガセネタだったというのは大きな衝撃に違いありません。 裏を返すと、おカネを比較的使える企業経営者や都市部在住の富裕層は、一貫してカマラ・ハリスさんら、人権重視で都市型の政策を推進し、環境政策に前向きで移民政策を奨励するような伝統的な左翼や左派系マスコミ、調査会社の言うことを信じ続けた面はあるのかもしれません。 結果的に、そういった願望に応えるようなメディアの予想は外れ続け、切なる願いはトランプさんの地滑り的大勝利という事実の前に打ちのめされて、言葉もないような状態になったわけですが……。 むしろハリスさんへの期待の声が高く、ハリスさんを支持する割合が半分に近づいていればいるほど、トランプさんが1月に大統領に就任してしまうという受け入れがたい現実に強い嫌悪感を抱くでしょう。「民主主義は死んだ」とか「アメリカの衰退はここで確定した」などの怨嗟の声を上げた結果、アメリカ社会は正当な民主主義を進めたがゆえに分断が進んでしまう恐れもあります。 かたや、日本ではトランプさんとハリスさんのどちらが勝利しても日米関係を引き続き強固なものにし続けるという観点から、両にらみでどちらが大統領に就任しても影響が最小限に収まるよう、情報収集や人間関係の構築は続けていたものと見受けられます。 首相補佐官の長島昭久さんが、いち早くトランプさんと石破首相の電話会談を実現したことを報告しています。個別具体的な内容はともかく、きちんと対話可能な位置に日本と石破茂さんがいるということをきちんと示せてよかったなと思います。
■ アジアで影響力が低下するアメリカの代わりに何ができるか? アメリカとの関係強化は日本の安全保障・国益においては最重要課題です。国内から「親米ポチだ」「対米従属だ」と批判されようとも、最大の変数としての日米関係を維持しつつ、東アジアやASEAN(東南アジア諸国連合)地域の安全保障の確立に資する同盟関係をどのように堅持するかは、石破政権が担う一丁目一番地であることは論をまたないでしょう。 他方で、アメリカ側から超党派で求められ続けている能動的サイバー防御(ACD)やセキュリティクリアランス、経済安全保障関連は必須として、そこに自由で開かれたインド太平洋(FOIP)やデータ法制関連(DFFTや個人情報保護法、AI関連法制、デジタルサービス法ほか)あたりは本来国会でも真摯に議論していくべき内容です。 そのうえで、アメリカが一層の内向き政策を採る場合に(もちろんその可能性が高い前提ですが)、アジアから徐々に影響力を減じていくアメリカの代替となる日本の穴埋め策なども検討していく必要が出てきます。 今回のトランプ体制では単純な米中対立の構図になることは考えづらく、より変数の多い国際環境の中で、日本が役割として何を担い、それを担保できる政策、人員、リソース的な確保をどのように行っていくのかという議論・検討はどうしても必要です。 このような状況下で、石破茂政権は割と安全保障方面に強いメンバーを揃えています。外務大臣に岩屋毅さん、防衛大臣に中谷元さん、秘書官に長島昭久さんがいたうえで、国家安全保障局(NSS)も秋葉剛男さん以下、主要なメンバーはまあまあ残っています。通り一遍の日米関係の維持は、よほど変なことが起きたりしゃべったりしない限り、大丈夫じゃないのかなあと思っています。 ただ、これまで述べた通り、「アメリカが徐々に地域からいなくなる場合に、日本がその役割をどう埋めるのか」という現実面の対応だけでなく、日本はここでアメリカの肩代わりをしますという青写真ぐらいは作っておく必要があります。