“ユニクロの対極をいく”アパレル企業が、「創業から5年8ヶ月」で新規上場した納得の理由
トレンドの影響を受けない体制を確立
ここで、具体的にyutoriが展開しているブランドを紹介しよう。 yutoriのブランドは、「ティーンカルチャー」、「トレンド」、「デザイナーズ」、「インフルエンサー」という4つのカテゴリーに分類できる。 同社はこれらの多様なカテゴリーを通じて、さまざまなユーザーに対して個性豊かなファッションを提案しているのだ。そして、この4分類それぞれにブランドを配置している(M&A含む)。 つまりこのビジネスモデルでは、一部のブランドがトレンドの影響で振るわなくても、他のブランドがその分をカバーしてくれるのだ。
20代の女性が言う「みんな」の正体とは?
我々は普段たくさんの情報に触れている。だが、必然的に職場、家族、友人など特定のコミュニティの中で生活している。その結果、特定のコミュニティにおける「みんな」が知っている情報をもとに消費行動をしているのだ。 ここでいう「みんな」とは、不特定多数のことではない。密度の濃いファンたちの間で交わされる「みんな買ってるよ」というときの「みんな」のことである。 たとえば、20代の女性たちが集まる女子会で交わされる「このNetflixの韓国ドラマ、みんな見てるよ」という時の「みんな」とは本当にみんなだろうか。おそらく、50代のサラリーマンはその韓国ドラマを見ていないはずだ。 では、なぜ彼女たちは「みんな」と言うのだろうか。それは、その韓国ドラマには「密度の濃いファン」がいるからだ。ファンの間で熱狂的に支持されているものは、ファンたちにとって「みんな見ている」となるのだ。
「誰に売るブランドにするか?」を決めるために行うのは…
この密度の濃いファンに支持されるブランド設計を、yutoriはNICOモデルと呼んでいる。NICOモデルで大事なのは、「誰に売るブランドにするか?」を決めることである。 なによりもまず、ターゲットを明確にし、その解像度を高くしてブランドコンセプトを考えるのだ。そこでまず、彼らはInstagramを見ながら、どこでどんなことをしている人に訴求する商品を作るかを決める。 例えば、「渋谷の道玄坂でスケボーをする19歳の男性4人組が好きなブランドを作ろう」と、明確にペルソナを決定してから、SNSでどんな投稿をするか? どんなインフルエンサーに投稿を依頼するか? どんな商品のデザインにするか? を決定する。 こうしたブランド作りのチームと、実際に商品を売るマーケティングチームが同社では分かれている。それにより、「確実に買ってくれる層」に刺さる商品を開発し、販売ができるのである。