仕事で評価されない…考えられる理由と対処法を紹介
仕事で思ったような評価がもらえないことに悩む若手ビジネスパーソンは少なくないようです。頑張っているにも関わらず、評価されないのはなぜなのでしょう?考えられる理由と対処法について、人事・採用コンサルタントの曽和利光さんに伺いました。
頑張っているのに仕事で評価されない理由と、その対処法
一生懸命仕事に向き合い、成果も上げているのになかなか評価されないという場合、いくつかの理由が考えられます。その理由を対処法とともにご紹介します。 ◆Case1:自分の努力や頑張りを上司にアピールしていない 「陰徳を積む」という言葉があるように、日本人には「陰でひっそり努力する」ことを良しとする特性があります。「自分の仕事に一生懸命向き合っていれば、その頑張りを必ず誰かが見てくれているに違いない」とか、「自分から努力をアピールするのははしたない」などと考える人も少なくありません。 でも残念ながらそれでは、努力や頑張りが一向に上司に伝わりません。今は、自分から積極的にアピールしないことには、いくら頑張ったところで正当な評価が得られにくい時代になっているのです。 一昔前は、管理職の多くは文字通り「管理する仕事」に特化できていたので、部下の行動に目を配ることができていたし、誰がどこでいかに頑張っているのかという情報も積極的に収集できていました。 しかし、今は人手不足などから、管理職の大半がマネジメントだけでなく自ら業績貢献のために動く「プレーイングマネージャー」として働いており、どうしても部下一人ひとりにまで目が行き届かなくなっています。ましてや働き方改革やリモートワークの増加で、オフィスで時間をともにする機会が減っている今、ますます部下の努力や頑張りを把握するのが難しくなっているのです。 対応策は、「報連相で現状をこまめに共有する」 上司が評価してくれないならば、自分から普段の努力や頑張りをどんどんアピールしましょう。「上司にアピールするなんて気が引ける」という人もいるかもしれませんが、気持ちを切り替えるべき。前述のように、嫌でも自分をアピールせねば伝わらない時代であり、いくらひっそり陰徳を積んだところで現世では報われないと理解しましょう。 お勧めしたいのは、普段から報連相を通じて自分の現状をどんどん共有すること。たとえ求められていなくても日報や週報を作って上司に送ったり、「今度A社に訪問するのですが商談内容を聞いてもらえませんか?」などと相談したり、いいアイディアが浮かんだら「こんな案を思いついたのですがどうでしょう?」と立ち話でぶつけてみたりと、事あるごとに上司とコミュニケーションを取るのです。これらの行動を通じて、上司はあなたがどれだけ頑張っているのか正しくつかむことができるようになり、評価も変わってくるでしょう。 営業職など、成果が数字で見える仕事であってもアピールは必要です。例えば、同じ契約数であっても、まぐれで売れたものなのか、恒常的な努力の末に売れたものなのかでは、評価は当然変わってくるはず。契約を取るためにどんな努力や工夫をしたのか、日報やミーティング、1on1などの場で積極的に共有しアピールしましょう。 ◆Case2:上司と人物タイプが異なるため、無意識のうちに低く評価されている 人は誰しも、自分に似たタイプの人物に好感を持つものです。心理学で「類似性効果」と言いますが、これは悲しいかな、上司が部下を評価する際にも無意識下に存在します。同じような成果を上げている部下が何人かいた場合、自分と似たタイプの部下を無意識のうちに高く評価し、似ていない部下には低い評価を下す傾向にあるのです。 したがって、直属の上司とあなたの人物タイプが大きく異なるから、頑張っているにもかかわらず評価されていない…という可能性は考えられます。たとえば、とにかく顧客のもとに足しげく通い、人間力で関係性を築くような「足で稼ぐ営業」をしてきた上司は、同じようなタイプの行動力がありフットワークがよい部下をついひいきし、真逆のタイプである「机上で慎重に戦略を練ってから行動する」ような部下は低く評価しがちになるものです。 対応策は、「自分を買ってくれるリーダー層を見つける」 この場合、本来であれば上司に「類似性効果で評価を下している事実」に気づいてほしいところですが、部下から働きかけるのは相当難易度が高いと思われます。 有効なのは、上司と自分の間にいるリーダークラスの先輩の中で、自分の働きぶりを買ってくれる人を見つけること。そして、上司ではなくその人に、普段の努力や頑張りをアピールするといいでしょう。 上司は、自分1人の独断で部下の評価を下すことはほぼなく、周りの意見を集めて自分の目が届いていない部分を補完しながら一人ひとりを評価しています。自らがプレーイングマネージャーであり、マネジメントが手薄になっているのであればなおさら、信頼できるリーダークラスの声をできるだけ多く集め、評価の参考にしようとします。 そのとき、リーダーから「Aさんはすごく頑張っていますよ」「こんな工夫をして成果を挙げていますよ」などと伝われば、類似性効果による無意識の壁を乗り越え、正しく評価してもらえる可能性がぐんと高まるでしょう。