企業統治改革はエンドレス、情報開示の「質」向上必要-JPX山道氏
(ブルームバーグ): 東京証券取引所を傘下に持つ日本取引所グループ(JPX)の山道裕己最高経営責任者(CEO)は、上場企業にとってコーポレートガバナンス(企業統治)の改革に終わりはなく、今後は英文での開示を含む企業の情報開示や取締役会での議論など質を引き上げる段階に入ったとみている。
山道氏は17日のブルームバーグとのインタビューで、ガバナンス改革を登山に例え「コーポレートガバナンス山というのは恐らくエンドレスなものだ」と語り、企業の継続的な努力が必要との認識を示した。改革に向け東証が主導した形式的な基礎部分はある程度固まり、今後は各社取締役会での議論の質が高まるなど実質的な改善内容に焦点が移るとみている。
東証は昨年3月、プライムとスタンダード市場の上場企業に対し「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請。これを受け、自社株買いや増配など株主還元のほか、事業再編、経営陣による買収(MBO)が増えており、韓国も東証にヒントを得た「企業価値向上プログラム」を発表するなどこうした取り組みはアジアにも広がりを見せる。
一連のガバナンス改革は、東証株価指数(TOPIX)の昨年の上昇率が25%、今年も12%と主要国の中で優れたパフォーマンスを記録する一因になったが、東証の要請に対する企業の開示状況は今年3月末時点でプライム市場で65%、スタンダードで26%。株価上昇の継続にはさらなる開示率の上昇は必須で、投資家もより具体的な改革の進展を求めている。
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山道氏は、適時開示に関する日本語と英語の同時配信や取締役のダイバーシティー(多様性)を巡るスキルセットの開示内容の調整など、企業や投資家からの反応を踏まえて次の対応を考えるとも述べた。
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グロース市場の上場基準