「くすぶり俳優の熱い芝居見て」 主演・和田正人が語る映画「くすぶりの狂騒曲」
「くすぶりの狂騒曲」(立川晋輔監督)は、埼玉の劇場から全国区の人気者に成り上がろうとあがいた頃のお笑いコンビ「タモンズ」と仲間たちの奮闘する姿を描いた実録人間ドラマだ。主演は、多数の映画、ドラマでおなじみの和田正人(45)。「人気芸人となった彼らの〝くすぶり〟時代を、こちらはいまだに奮戦中の俳優陣が演じています。その熱狂的な芝居を見てほしい」と熱く語る。 【場面カット写真】映画「くすぶりの狂騒曲」 タモンズを軸にマヂカルラブリーら人気のお笑い芸人たちが、新規開業した「大宮ラクーンよしもと劇場」を盛り上げるため苦労を重ねた時代の実話に基づく物語。鮮烈な映像によるシリアスな群像劇に仕上がっている。 和田がタモンズの大波康平、駒木根隆介(43)が相方の安部浩章を演じる。 今年、NHK連続テレビ小説「虎に翼」で男性弁護士の恋人役を演じて強い印象を残した和田。映画主演はこれが2作目だ。若年性認知症の男性を演じた初主演作「オレンジ・ランプ」(令和5年、三原光尋監督)も実在の人物をモデルにした作品だった。 「ご本人たちや周りの方は、どう思うのだろう? モデルの方がいる役を演じるのは、独特のプレッシャーがあります」と明かす。 駒木根と「タモンズに似ているか否かで評価されるような映画にはしたくない。タモンズの物まねをするのはやめよう」と話し合った。 「自分たちの演技に集中すれば、『ちょっと違うな』と思う人がいても映画の世界に引き込める自信はあった。他の芸人役の役者たちにも『自分の足で立って自分を表現してください』と伝えました」 和田は、日大の選手として箱根駅伝を走り、卒業後は実業団に入った。だが、廃部になり俳優を目指した。 「俳優になれたので、実業団の廃部は僕にとっては良いきっかけでした。廃部後、すぐに役者を目指し、落ち込んでいる間もなかった。もともと前向きな性格であることもあり、僕には〝くすぶった〟経験がない」 あえていうなら40歳を過ぎた頃から、役者としてどこに進むべきか迷いが出た。「今が、まさにくすぶっている時期かな」と笑う。タモンズの仲間の芸人たちを演じた役者たちについても、「まだ奮闘中だ」という。 「この映画は、くすぶっていた芸人さんたちの話だが、僕も含めて今まさにくすぶっている役者たちが精魂込めた熱気あふれる芝居を繰り広げる映画でもある。誰よりもくすぶっている僕たちの熱狂ぶりをぜひ見てほしいです。これは、僕たちのくすぶりの狂騒曲でもあるんです」(石井健)