警察、大統領府の捜索不発 野党、弾劾訴追案を再提出へ 逮捕の前国防相は自殺未遂・韓国
【ソウル時事】韓国の尹錫悦大統領による「非常戒厳」宣言を巡り、警察は11日、内乱などの容疑で大統領府の家宅捜索に踏み切った。 だが、大統領府が捜索を認めず、強制捜査は翌日以降に持ち越された。一方、最大野党「共に民主党」は尹氏の「即時逮捕」を要求。12日に尹氏の弾劾訴追案を改めて国会提出し、14日午後に採決する方針だ。尹氏に対する捜査と弾劾手続きの二重包囲網が狭まっている。 内乱罪は憲法秩序を乱す目的で暴動を起こした場合に適用され、死刑または無期懲役などが科される。大統領が在職中に訴追を免れる「不訴追特権」の例外に当たり、現職大統領が逮捕されれば韓国史上初めてとなる。 警察の特別捜査団は11日午前、捜査員約20人を大統領府に派遣した。聯合ニュースによると、令状は尹氏を「容疑者」と明記。大統領の執務室や閣議室などを捜索対象としていたが、大統領府側は「軍事機密」の存在を理由に応じなかった。 警察は同日、警察庁やソウル警察庁も家宅捜索し、トップの趙志浩警察庁長官と金峰埴ソウル警察庁長官を内乱容疑で緊急逮捕した。3日の戒厳令下で国会に議員が入るのを警察官に妨害させた疑いがある。 戒厳令を出すよう尹氏に助言したとされる金龍顕前国防相は10日、内乱と職権乱用の容疑で検察に逮捕された。国会に進入し、戒厳解除決議が成立するのを防ぐよう軍に指示した疑いが持たれている。金前国防相は同日、拘置所で自殺を試みたが、すぐに制止された。命に別条はないという。
