カナダ財務相が辞任 「トランプ関税」への対応めぐり首相と対立
カナダのフリーランド副首相兼財務相が16日、辞任を表明した。米国のトランプ次期大統領が警告する関税対応などをめぐり、トルドー首相と対立していた。2025年秋までの総選挙を控え、支持率が低迷するトルドー政権にとって新たな打撃となる。 フリーランド氏は同日、X(ツイッター)で辞表を公表した。トランプ氏が掲げる関税政策などに対するトルドー氏の姿勢を暗に批判し、「対立」があったと認めた。さらに「『米国第一』の経済ナショナリズムを押し戻す」と主張し、「来たるべき関税戦争に備え、財政の火薬を乾かしておく必要がある」とも記した。両氏は一定所得以下の国民に250カナダドル(約2万7000円)を給付する景気刺激策を巡る意見の相違が報じられていた。フリーランド氏は議員にはとどまるという。 カナダでは25年10月までに総選挙が予定されている。トルドー氏率いる与党・自由党の支持率は20%台前半に低迷し、最大野党の保守党に大きく引き離されている。カナダ公共放送(CBC)は、フリーランド氏の辞任を受け、自由党内からトルドー氏への退陣圧力が強まっていると報じた。 トランプ氏は、カナダとメキシコの不法移民や違法薬物の流入対策が不十分として、来年1月の就任直後に両国から輸入する全製品に25%の関税を課す考えを示している。【ニューヨーク八田浩輔】