英労働党政権、初の予算案 8兆円の増税
ロンドン(CNN) リーブス英財務相は30日、与党労働党が7月の政権交代以降、初めて示す予算案を発表した。高所得者や外国人富裕層などへの課税強化が盛り込まれている。 英国政府の財政監視団体によると、この措置により、2029年末までに年間歳入が415億ポンド(約8兆3000億円)増加し、税額は国内総生産(GDP)の38%という記録的な水準に達することになる。 リーブス氏は現在、公共財政の安定性を回復し、公共サービスを再構築していると述べ、現在は野党の保守党が、必要な歳出に対する不適切な予算の割り当てなどによって英国を「機能不全にした」と主張した。 何年にもわたり英国の経済成長は精彩を欠き、企業投資は低水準にとどまり、生活水準はごくわずかしか向上していない。
富裕層への課税
労働党は選挙前、労働者にかかる税負担について「可能な限り低水準」を維持すると公約し、所得税、消費税、給与税を引き上げないと公約していた。 政府は30日、高所得者を対象に、相続した年金に課税する計画を発表し、投資不動産や株式などの金融資産を売却した際に得られる利益に対するキャピタルゲイン課税の引き上げを明らかにした。 英国の金融サービス企業ハーグリーブス・ランズダウンの個人金融部門責任者サラ・コールズ氏は、「この変更は投資家にとって打撃だ。新規参入者にとっても投資の魅力が薄れる」と述べた。「すでに英国に投資する人は世界の他の地域に比べてはるかに少なく、この増税が問題を悪化させる可能性がある」 政府はまた、海外に永住拠点があるとして納税することなく英国に居住する人々に適用される非居住税制を廃止する計画を進める。こうした個人向けに新たな税制を導入し、今後5年間で127億ポンドの税収を見込む。 そのほか、プライベートジェット機による旅行の関税の50%引き上げ、私立校の授業料に対する20%の減税の廃止も計画している。 最大の収入源は、サラリーマンの所得に対する税の一種である雇用主の国民保険料負担の増額だ。これにより最終的に年間250億ポンドの増収が見込まれる。