球界大御所が阪神に意見「岡田、掛布でなく矢野新監督抜擢は正しかったのか」
阪神の矢野燿大新監督(49)が18日、大阪市内のホテルで就任会見を行った。金本知憲監督(50)が本社主導の辞任勧告を受けて電撃辞任。急遽、後任監督を探す中、「金本路線の継承」「根本からの阪神変革を担うリーダー」として矢野2軍監督が適任だと藤原崇起次期オーナー(66)が抜擢した。 藤原次期オーナーと共に会見に臨んだ矢野新監督は、「2軍監督として選手に『チャレンジしよう』と言ってきた。終わったことに引っ張られるのではなく前を向いていこうとメンタルの部分を選手に伝えてきた。そう言っている自分が逃げるという選択をしたら選手に言ったことが嘘になってしまう」と、3日間、思い悩んだ末の受諾理由を説明。 矢野野球のキャッチフレーズとして2軍監督として阪神を12年ぶりの日本一に導いた3か条を継承することを表明した。 「今までやってきた『超積極的』『あきらめない』『誰かを喜ばせる』という3つを大事にしていきたい」 契約は3年。最下位からのスタートとなるが、来季の目標は「もちろん優勝」と断言。 「3年後に優勝なんて微塵も思っていない。来年優勝を狙うし、ファンが喜ぶ野球をしたい。理想は点を取りたい」と続けた。 矢野新監督の抜擢人事は正解だったのか? 元西武、ヤクルト監督で、ロッテではGMも務めた広岡達朗氏は「阪神はいい選択をした」と支持した。 「矢野は2軍監督として1年間、監督の仕事を勉強した。こういう経験は大きい。メジャーでも現役時代の名前や実績と関係なく、指導者としての適正を持つ人間をまずマイナー組織で監督をさせ勉強させる。勉強もせず、経験だけで指揮を執るようなベテランの監督に任せるよりも、矢野が一番良かったのではないか。適任だと思う」 関係者やファンの間では、2005年の優勝監督で、勝負に徹する岡田彰布氏(60)か、前2軍監督で育成に定評があり、来季もSEAの続投となった掛布雅之氏(63)の生え抜きの大物OB2人に、2年から3年を任せて、その間、矢野氏にさらに経験を積ませて継承させることがベストではなかったのか、との意見も少なくない。 だが、広岡氏は「これからの時代は勉強をしていない監督では限界が来る」という意見だ。 矢野新監督は、昨年「超積極的野球」を掲げてファームでウエスタンリーグの新記録となる163個の盗塁をマーク。積極性を植え付けて8年ぶりにウエスタンリーグを制覇。その勢いで巨人とのファーム日本選手権にも快勝した。 その2軍の野球が、そのまま1軍で通用するのか、という問題について、広岡氏は、「ファームの野球と1軍の野球はまったくの別もの。例えばファームでは、ほとんどのピッチャーがクイックや牽制などのプロ技術を学ぶ場で、そういうところで走ったからと言って上でうまくいくとは限らない。ただ、その姿勢は大事。西武の躍進は昨年から辻がそういう意識をチームに浸透させた点にある。矢野が1軍でもこの姿勢を貫けば面白い」という考えだ。 矢野新監督がファームでやった野球が通用しないことに釘は刺したが、その姿勢は買った。