SB王会長が広岡氏にG倒V4の勝因語る「工藤はやっと嫌われる監督になった」
タブーなき選手起用ゆえにチーム内競争は激しくなる。 レギュラーを確約されている選手は柳田、グラシアルら数人程度。 第3戦で、大差をつけているにもかかわらず代打で出場した長谷川は、セカンドの右に強烈なゴロを放つと一塁へのヘッドスライディングを敢行。吉川のファインプレーで間一髪アウトになったが、その場で地面を叩いて悔しがった。この姿を生むチームの空気を作ったのが、工藤監督の「選手に嫌われる」采配なのだ。 広岡氏も西武監督時代は、私生活から厳しい管理野球を徹底して選手に嫌われた。江夏豊氏が反旗を翻したこともある。それでもぶれず勝った。西武の黄金期を作った。 広岡氏は、こう続ける。 「工藤は勉強をしている。私が強く希望して工藤をドラフト6位で獲得した。だが、2年が過ぎ、“こいつは野球をなめている”と感じたので、そのオフに米国のシングルA(サンノゼ・ビーズ)へ修行に出した。マイナーはハンバーガーリーグと言われるほど競争が激しくハングリーな場所。野球をなめている工藤に本当のハングリーというものを肌で感じさせたかったのだ。そこから工藤の態度は一変した。私が西武を離れたあと、FAでダイエーへ移籍して、その後、巨人でプレーし、人的補償で取られた横浜でもプレーをした。彼は他所の飯を食い苦労した。そして勉強した。巨人一筋の原とは違う点だ。監督になって1年目、2年目は戸惑いもあったのかもしれないが、今は冷静に迷うことなく采配をふるっている。監督として立派になったと思う」 6年前に工藤監督がソフトバンク監督就任1年目に日本一となった際、夫妻で広岡氏の自宅を訪れ「おかげさまで立派になりました」と挨拶したという。 工藤監督は第2戦では6回に「一人一殺」の継投を繰り出して巨人に流れを渡さなかった。短期決戦の戦い方を知っているのである。 「ソフトバンクが巨人に優っていた点はいくつもあるが、投手力は特に目についた。どの投手も投球フォームの軸がぶれていない。つまり正しい投げ方をしているからボールが速いのだ。開幕投手を務めた東浜が怪我でいなくても影響はなかった。この投手陣を作りあげたのは工藤ゆえの指導力だと思う」